第2話

「おー遅いぞ、減点するぞおまえら」

姿が見えた瞬間ロミオさんが遠くから叫んでくる。

うわ…思い出しちまったけど夏にロミオさんの実習あるんだよな…

無茶しそうだよなこの人

…なんて思ってたられえのテンションが急速に上がる。


「よー!兄ちゃん!」

「よーれー元気そうだなー!!」


すんげー勢いでとびこんでったれえをロミオさんがはしゃいだ犬わしゃわしゃするみたいに撫でてる。

あー…はしゃいじまって…かわいいなーくそ…


「兄ちゃんの車?すげーっっ」

「んー、国彦助手席ー」

「あ?何で俺」

「れえ途中で多分寝ちゃうから後ろがいいだろ」


…なんかな、

俺心配なのはれえの態度だけじゃないんだよな

むしろロミオさんがれえんこと甘やかしまくるつうか

もうそれはカノジョ扱いだろ…


学校ん奴らがやってたような事とあんま変わんねえのに

当のれえはロミオさん信頼しまくってるからすっかり安心して甘えまくるし


まさか、ロミオさんもれえん事マジに

…とか、ねえよなぁ…

「れーまた菓子くってんの?何それうまい?」

「ん。新発売って書いてあった」


シートベルトしめ終わって行くぞって時にロミオさんがれえん方に身を乗り出してあーんてする

れえもそれに何の迷いもなく菓子をその口に放る


て、なんなんだよコレ

「れえ俺も」

悔しくなって俺も振り向いてあーんてしたられえがモグモグ口懸命に動かしながら首横にふった


…んにゃろ




しばらく海岸沿いに車を走らせてから、ロミオさんは浜辺の近い駐車場に車を止めた。

もちろん海開きはまだだから人もまばらだ。


春の空は澄み渡り、風も心地がいい。


「海すげーひさしぶり」

れえがはしゃいで砂浜に駆け降りてく


「あんま波に近づくと濡れるぞ」

ロミオさんの制止も聞かずれえは波に今にも足をとられそうだ。



「しょうがないな」

てれえを眺めてるロミオさんの目がマジあまっあまなんだけど


はー…って軽くため息つきながら砂浜に腰おろしたら

れえが俺にでっかい海藻投げてくる

「ほらくに、わかめ!」

ロミオさんは菓子で俺にはでっけー海藻か

「…うん、ありがとう食うわ」

「食うな!」


「あーあ、れえ足濡れちゃってるよバカ」

ロミオさんは俺の隣に腰かけて笑った。

これでタオルとか足洗う真水車に積んでたら

俺は確信するからな。まじに。



「なぁ国彦」


「ん?」

「お前最近背伸びただろ」

「…あー、少し伸びマシタね」

「なんだその敬語」

「いや、だってロミオさん教官なんでしょ。授業持ってるって」

「おお、聞いてたか夏の特別訓練だけだよ。俺なんか本当手抜き訓練官だからね」

ぜってー嘘だ…



「礼の事頼むな」


ってまた、すんげー愛おしげに礼を眺めながら俺に言った。


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