第2話 「does」って「ドS」って覚えるよね!

俺は早速ネットを漁る。


PCを起動させる。


(ΦωΦ+)ホホゥ….あの大手配信者が炎上してるぞ…


毎日こんな感じでネットを見ている。


いくらやっても飽きない辺り、ネットの凄さと怖さが分かる。


俺ニカニカ動画で、『愛すべきバカ』のタグで検索し動画を見る。


このタグのものは結構見ていて飽きない。


『ゲームの中に出てくる回復薬作ってみた』

面白そうである。

俺はその動画のサムネイルをクリックし、視聴を開始する。


視聴を終えた俺は、下に「貴方だけの世界を作ってみない?」というキャッチフレーズの広告があることに気付く。


シミュレーションゲームの広告だろうか。俺は結構育成ゲーとか好きなのでやってみたいと思い、そのバナー広告をクリックする。


すると、専用のサイトに飛ぶ。

そこには、


「貴方だけの世界を創ってみませんか?」


イチから世界を創る、シミュレーションゲーム開発中!!


テスター募集中です!!

ゲーム好きの方是非是非ご応募を!!


テスターになりたい方は、下記の応募フォームからご応募下さい。


※本社の厳正な抽選の元、男女それぞれ二名ずつに絞ります。


給料:完全歩合制(成果によって大いに変わります)


と、書いてあった。


ゲームをすればお金が貰えるのである。

別にお金に困っている訳では無い(なんせ10億当たったもんね)が、これも何かの縁だろう。


俺は応募フォームから必要事項を入力し、応募していく。


「意気込みか...」

必要事項記入を進めていくと、

「最後に意気込みをどうぞ!」という欄があった。


特に意気込みがあるわけじゃないんだよな…


「適当に頑張ります。」


これだけ書いた。絶対に合格しないだろうな、と、思いながらも。


よし、送信!!


俺は送信ボタンをクリックした。すると、


応募が完了しました。


というメッセージが表示される。


よし、後は待つだけだ。


あ、そういえば、選考期間が書いてなかった気がするな。ま、いっか。


俺は、眠くなってきたので寝た。

ピロリン♪


という音で目が覚める。

俺は、まだ半分しか開いていない目を擦りながら、スマホを見る。


すると、1件のメールが来ていた。


開いて確認してみると、



合格のお知らせ



貴方は我社の開発中のゲームのテスターに見事合格しました!おめでとうございます!


本日12時までに下記のリンクをクリックしてください。


尚、12時までにクリックされなかった場合には、他の方に繰り上げになります。


と、あった。


まじかよ、合格したのかよ。

なんせ、意気込みが「適当に頑張ります。」である。

こんな人間を選んだこの会社を、少しを疑ってしまう。



因みに、只今の時刻は10時である。


普段12時起きの俺には少し早起きだ。


でも、期限の時間は全然間に合っている。


俺はメールに添付されたURLをクリックした。

その瞬間、スマホから直視できない程の眩い光が放たれる。

訳も分からないまま、反射的に目を閉じてしまう。

俺は、さっきまであった目の前の眩い光の感覚がなくなったことを悟り、ゆっくり目を開ける。


すると、宇宙の様な景色が目の前に広がっていた。


一面に広がる黒い世界に、白く小さな光。

所々に浮遊している青や灰色、茶色の球体。


どこを見ても宇宙。しかし、地面は確かにあった。


急な出来事に混乱していると、直径2メートル程の光の円が3つ出現した。


なんだなんだと思い、よく見てみると人が中から出てきた。


一人は男性、残りの2人は女性と伺える。


男性はこちらに来る時に座っていたのか、空気椅子の状態で出てきた。男性の体が完全にこちらに出てきて、光が無くなった瞬間、彼は尻餅をついた。


いたた、と尻をさする彼は金髪に沢山の耳ピアスをつけ、カラスに狙われそうな光りものが沢山付いた黒い革ジャンに、穴だらけのジーンズを履いていた。


これはあれだ。

中3でかっこつけて酒飲んだり、タバコ吸ったりしてるヤンキーだ!

絶対そうだ!!


「お酒タバコは20歳から!未成年の喫煙、飲酒は絶対ダメだよ!」

そんな声が聞こえた気がした。


そんなヤンキーが尻餅をつき、お尻をさすっていると思うとシュールでつい、

「プッ」

と吹いてしまった。


しかし、俺が吹いたのをヤンキーは聞き逃さなかったようだ。


ヤンキーは彼の持つ、スペシャル鋭い目で俺の事をギロっと睨みつけてきた!


「ひぃ!!」

俺は彼の威圧に耐えることが出来ず、怯んでしまった。


俺のターン!

しかし、怯んでしまっていて動けない!


ヤンキーのターン!

彼の必殺技、「☆SHITAUCHI☆」攻撃!


俺に1000000の精神的ダメージ!

俺は悲しくなった。

俺には攻撃手段がもう無い!

目の前が真っ暗になった...



怖いから、もう彼と関わるのはやめよ...



他にいるのは、きこれまた金髪のおギャルである。高校生くらいだろうか。


「電波届かないとか、マジだるいんですけどー」

とか言いながら、スマホをイジっている。


明らかに日本ではない場所に急に来てしまったのに、スマホの電波の心配をする辺り、流石である。


もう1人の女性は、ボサボサの髪に眼鏡をかけていた。少し背は低いがこの子も高校生くらいだろう。


「こ、これは、異世界転生というヤツでしょうか!なんだか、猛烈にテンション上がってきました!」

とかなんとかブツブツ言っている。



「はぁ...」

自然とため息が出てきてしまった。


ここから早く出たいのに、ギャル、ヤンキー、オタク女子のメンツである。


どのお方も、非常に絡みづらい。


どうするかな…と悩んでいると、ふと、どこからか女性の声が聞こえてきた。


透き通るような美しい声。まるで耳を優しく撫でるかのようで、いつまでも聞いていたいと思えた。


「この度は、お集まり頂きありがとうございます。あなた方には、只今から世界を創っていただきます」


あ、まさか!今からゲームが始まったんじゃね?


「なお、これはゲームなどというお遊びではありません。創っていただく世界で死ねば、地球でも死にます」


今この人しれっと恐ろしいこと言った!


「でも大丈夫です!!死因は心臓発作となり、直ぐに裏の人達が片付けてくれます。なので、家族の方々に迷惑は一切かかりません」


お!!安心のアフターサービス!!さすが!


...って違うわ!!


そんなこと一切聞いてないよ!?ねえ、ねえ!?


「あ 、因みに言っておきますが、あなた方に拒否権はありません。基本的人権の尊重とか言っても無意味ですよ?だって、ここは日本では無いんだから!!恨むなら、ゲームのテスターとか胡散臭いサイトに騙された過去の自分を恨みなさい?」


なんか、急にキャラ崩壊したな!おい!


あ、コイツ、ドSだ。

(あ、そうそう、ドSで思い出したんだけど、英語で出てくる「does」って「ドS」で覚えるよね!!)


「さあ、詳しい事はこのあと話してやるから、さっさと目の前のドアの中に入りなさい?下僕共!」


いつからコイツの下僕になったのか全く覚えてないが、いつの間にか目の前にドアが出現していた。

どうやら、ドアの中に入るしかなさそうだ。


俺はドアノブに触れる。


すると、ノブに触れた右手にビリッという刺激を感じた。


この刺激...これは..!


我々の冬の天敵、「SEIDENKI」ではないか!


流石ドSが出現させたドアである。

ドアまでドS仕様だ!!


俺は恐る恐る再度ノブに手をかけるが、二回目は特に何も無かった。

安心した俺はそのままノブを捻り、ドアを開け、その向こうに進んでいった。

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