順調?

「我々SDは実力者が揃うチームだ。自身を持て!初陣を華々しく飾るとしようじゃないか!」


 舞の掛け声とともに戦場へと向かう。


「チームはさっき言ったな。そのチームで連携を取り敵を殲滅しろ」

「おう!!」


 皆の士気は上々。舞の鼓舞が効いているようだ。


First team:牙龍院花奈、翠川みどりかわ吉継よしつぐ青間あおまれい青間あおまあい黒岩くろいわ誠也せいや


Second team:白夜舞、牙龍院シン、赤谷煉、青矢涼香、黄崎雫


Third team:水美みなみかおる紺谷こんたにただし橙台寺とうだいじ真樹まき淡路あわじ宗光むねみつ白城しらき未央みお


 5人で1パーティーとなって動く。ちなみにシン含め四人が固まったのはその4人しか一年生が居ないためである。舞が居るのはリスクを軽減するため。このパーティー編成はSD全員で話し合った結果だ。


「さてと、位置には着いたけどまだ時間ありそうだな。軽く説明しとくか。煉、雫、涼香。魔物が来たらとりあえず心臓を狙えそこに魔石がある。それを傷付けさえすればお前らなら勝てる。まあこれは異例だがごく稀に胸の位置じゃなく頭に魔石があるやつがいるからその時は冷静に対処してくれ」

「分かった」

「オーケー」

「了解です」

「まあ、いざとなったら2人いるからね」

「まあ、このパーティーで死者は出ないと思うけどな」


『こちらthird。遠方に魔物の群れを確認。我々で援護する。first、戦闘準備!』

『了解!second討ち漏らしは頼むね!この量だと流石に対応しきれない。』

『はいよー、じゃあ、獲物待ってまーす。花奈も頑張ってねー』

『うん!頑張るよー』

「舞は相変わらずの適当さだな」

「えへへ、それが私の売りだからね」

「ちょっと?褒めたつもりなんてさらさら無いんだが?」

「ん?聞こえないな」と無邪気に笑った


 すると、前方から金属音が鳴り響いて来た。


「いよいよだな。舞には煉と雫、涼香は俺とだ」

「了解!とりあえず前三後ろ二でいいか?」

「おう。煉と雫はキツくなったら涼香と変われ。いいな?」

「りょーかいだよ!よっし、頑張ってこようかな!」

「おう、いってらっしゃい」


 俺たちのフォーメーション、というほどのものでも無いがとりあえず俺と舞以外は実戦経験が乏しい。故にひと塊りになることを避け五十メートルほど間を空け戦闘に備えている。


「んー」

「どうしたんですか?シンさん」

「いや、あいつなら何か開幕と同時に仕掛けて来てもいいかなって思ったんだけど今のところ俺にぶち込んで来た砲撃しか無いんだよなぁ」と、顔を曇らせる。

「では、相手は何か用意している、という事でしょうか」

「その可能性は高いな。あ、そうだ。涼香」と手を招き「耳貸して」と言って伝言。

「わ、分かりました。今すぐやっておきます」


 すぐに魔法を完成させシンの指示通り魔法を展開した。


「終わりましたよ、シンさん。これで大丈夫でしょうか」

「おー、全然問題ないよ。仕事早いな」

「いえ、これくらいは誰でも出来ますよ」

「じゃあ、討ち漏らしの討ち漏らしを狩って行こうか」

「はい!」


 そして2人は愛刀を顕現させた。


____________________

「敵多いなぁ。セカンドチームの方にちょっと負担多いかな」

「いえ、白夜先輩とシンが居るから大丈夫だと思いますよ。それより花奈先輩ももっと敵倒して!?」

「あ、ごめん。忘れてた」

「ちょっとぉぉぉぉおお!?」


 まだ余裕があることは分かる。セカンドチームの方も討ち漏らしを完璧に始末してる。サードチームの援護もすごく正確で助かってる。でも…


「オラァァァァァ」


 煉が敵を切り伏せた魔物は綺麗に心臓の位置から半分になった。


「ふぅ、結構順調じゃないか?」

「うん!順調だね!」

「うーん。でもなぁ…」

「どうかしたんですか?白夜先輩?」

「あー、大したことないんだけどね。ちょっと考え事」


 と言いながら敵を軽くいなす舞は流石と言わざるを得ない剣さばきで敵を次々ほふっていた。でも…


「涼香!右前!」

「はい!」

サンッ…

「結構連携取れてきたな」

「はい!結構多いですね。まあな、敵の狙いはうちの学園だ。何で校舎を狙うのかは分かんないけど」

「そうですね。いまいち、相手側の狙いがわかりません。魔物の多くは校舎、その他はシンさんを狙っているように見えますが」

「んー、そうなんだよなぁ。何でだろ」

「魔物達の本能がシンさんの危険さを感じてるんじゃないですか?」

「涼香ってちょいちょいストレートにそーゆー事言うよな」

「まあ、前方の皆さんの討ち漏らしは全て倒せてますから順調ですね」

「うーん、そこなんだよなぁ」


 確かに順調それぞれのチームがしっかり連携が取れて全てを討っている。だけど…


『おい、花奈、舞、聞こえるか?』

『うん。聞こえるよ〜』

『聞こえるよ』

『この戦いは順調すぎる。明らかにおかしい』

『それは私も思ったし、舞ちんも思ったと思う』

『うん。そうだね。あれだけ正確なスナイパーがいるのにそれも飛んでこないのが不思議だし不意打ち位なら相手も出来たはずなのにそれが無いってことは…』

『ああ、相手は何かを隠してるな』



「おーい、ただし〜警戒を怠るなよ?」

「おう。この辺はもう避難させたから生徒はいないよな?」

「うん。居ないはずだよ」

「なら、とりあえず周り見とけば…ってそこの女子生徒さん?何やってんだよ?避難し…」

ズッ…

「は?」


 そのまま紺谷忠は崩れ落ちた。


「おい!お前何やってるか分かってるのか!?って、お前は…」


 そして、水美香は理解した。この間の牙龍院シンが受けた砲撃はこの者が居たからあのタイミングで撃てばシンに当たると相手側が分かったのだ、と。


「涼香!さっきの魔法を発動しろ!」

「は、はい。ですが、何故彼女に?」

「ん?そんなの決まってるだろ?」


「裏切り者もとい内通者は黒鉄くろがね彩月さつきだ」











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