夢の意味

「夢?あ、今日の朝話したやつ?」

「見ましたよ。何かおかしな夢でした」

「え、俺もそういや見たな」


 煉が斜め上を見て思い出しながら言った。


「それってどんな夢だった?」

「私は巨大な竜巻の真ん中にいて龍と話してました」

「俺は炎に囲まれてたな。そんで、不死鳥がいた」

「あぁ、やっぱりかぁ」

「なるほど、そういう事ですか。わかりました」


 合点がいった、と言うように涼香が頷いた。


「え、シンと涼香何がわかったんだ?」


疑問符を浮かべる煉。


「わかるように説明してよ!」


 煩わしいとでも言うように雫が強めの口調で訴えた。


「はい。わかりました。君達2人にも説明しますね」

「バカにしてるでしょ」

「してるな」

「冗談ですよ」


 おぉ、涼香もこういう事いうんだな。


「それで、結局何なの?」

「セブンスがかかわっていると思いますがこういう話はシンさんのほうが詳しいかと思いますのでパスしてもいいですか?」

「うん。わかった。俺も涼香と同じようにセブンスがかかわっていると思うんだ。お前らが見た幻獣は全部セブンスに関わっているからな」

「セブンスかぁ。でもなんでセブンスの夢を私たちが見るの?」

「あぁ、うちにセブンスについての文献がいくつかあるんだけど、その中にセブンスが興味を持った人間はそれらの夢を見る。っていうのがあるわけよ。多分それなんじゃないかなって思ってるんだよね」

「え?でもセブンスってもう持ち主がいるんじゃないのか?」

「いえ、世間一般ではそう言っている方々もいますが実際はそうでも無いらしいんですよ」

「あぁ、今この世でセブンスを持ってるのは俺と花奈と舞だけだぞ」

「そうなんだ。てっきり私もう持ち主がいるんじゃないかと思ってた」

「あぁ、俺もそう思ってた」


 煉と雫が驚いていると雫が目を輝かせ始めた。


「じゃあ、私たちもセブンスを持てるかもしれないってこと?」

「まあ、そうなるな」

「おー!マジか!?あ、でもどうやったら手に入れられるんだ?」


 シンに注目が集まる。


「さぁなー。まあ頑張ってればなんとかなるんじゃない?」


 シンが答えると、煉がジト目で「なんでそんな適当なんだよ」と冷めた声で言った。


「セブンスは気まぐれなんだよ。決して俺は適当に答えたんじゃない。つまり、セブンスがだれを選ぶかなんて分かんないってこと」

「確かにそうですね。ですが、シンさんの体験談ならどうでしょうか」

「あ、それ良いね!シンなんか聞かせてよ。シンはどうやって紫閃刀しせんとうを手に入れたの?」

「俺か?んー俺は覚えてないんだわ。何せ死の瀬戸際だったもんでね。多分だけど、俺は…」


 シンは一瞬躊躇ためらって続けた。


「俺は『力』を求めた。生半可なものじゃなくて花奈を一瞬で助けられる速さと力を」

「チカラ?」

「あぁ、多分その時求めた力は一般的な力。あー、要するに強さを求めたんじゃないんだよなー。んんん、難しいなぁ」

「つまりシンさんは姉の花奈さんを助けるために力を求めてセブンスを手に入れたってことですか?」

「まあ、多分そんな感じだな」

「でも、俺らにそんな時くんのか?」

「今は結構魔術も発達してきてるからか、最近特にあんまり物騒な話聞かないしね」

「ですが、SDに就いて一人一人宣言してた時シンさんが消しとばしたあの魔法はなんだったのですか?」

「ん?あの俺が止めたやつ?」


 そういうとシンはんんー、と唸り始めた。そして、数秒後シンは重い口を開けて話し始めた。


「まあ、後々SDのみんなが集合した時に言おうと思っていたんだが知るのが遅いより早い方がいいな。実はあれの攻撃は宣戦布告みたいなもんだ」

「宣戦布告?と言いますと何かから狙われているのですか?」


 涼香がはて?と首を傾げながら聞く。


「ああ、あの攻撃は対魔術師アンチウィザード連合の《グラビティ・ゼロ》って言う組織からの攻撃だったんだ。あの後その組織のトップと会った」

「組織のトップと会ったってやっぱりシンの人生どうなってんだ?」

「本当ですね。強者の宿命って奴でしょうか」

「あはは、涼香それ言えてる」

「まぁ、笑えないけどな」


 雫は涼香の言葉で笑った。


「ですがシンさん。なんで全校生徒があの時間にあの場所で集まっているとわかったのでしょうか。学校のプログラムなんて外部に漏れだすなんてうちの学校ではあり得ませんよ?」

「ああ、だから内通者がこの学校にいると思うんだよなぁ」

「えぇ!?それって大丈夫なのか?」

「大丈夫なわけないだろ?」

「じゃあ、なんでそんなに落ち着いてんのよ!?」

「何も分からないのにあたふたしてたって時間の無駄だろ。それに、多分だが今週中には来ると思うんだよなぁ」

「その心はなんですか?」

「んー・・・まあ、勘なんだけどな」


 シンがきっぱり言い切ると前のめりになってた煉と雫がコントさながらに崩れ落ちた。


「なんかもうずっとシンに遊ばれてる感じする」

「その意見に賛成だ」


 二人は自席でぐたっとしてる。

 そして、ここで鐘がなった。


「ここまでだね〜。あとは放課後に話そ?」

「そうだな」

「そうですね」

「あぁ、そうしよう」


 そうして授業中、3人はいつもよりソワソワしてる事が気になって全然授業に集中できなかったシンなのであった。


___________________________________________________________________________

〈同時刻〉

「クラッツ様、そろそろ準備が完了するとの報告が入りました」

「オーケー。りょーかい。準備完了次第、進軍開始するぞ」

「はっ」


「「さーて、どうなるかな」」


 遠く離れた二人の策士が声を合わせた。


























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