報告

 シールス・クラッツが俺の元へ来た翌日、登校していると校門に舞と花奈が立っていた。


「お出迎えですか?なんかやらかしちゃったかな」

「昨日、何かあった?花奈が昨日シンが思いつめたような顔をして自室へ入ったと聞いたからさ、何かあったのかと思って」


 シンは沈黙する。


「肯定…ね。ここでは話ができるような案件では無いと言うことなのかな」

「まあ、そんなところだな」

「それじゃ、私は会議室のかぎ貰ってくるね」

「私も付いてくよ。花奈だけじゃ心配だからね。じゃ、シン。第一校舎の5階ね」

「ああ」


 一時解散。少し時間あるし何すっかなぁと角を曲がると全速力でかけて来た女子にぶつかった。


「うお!?だ、大丈夫か」

「あ、はい。大丈夫です。ごめんなさい。って、あなたは牙龍院シンさんじゃないですか!」

「あぁ、そうだが」

「あの試合、本当に凄かったです!」

「あ、そ、そうか」


 やりづれぇぇぇ、急すぎて変な回答しちゃったじゃねーか


「で、今何やってたんですか?」

「あぁ、少し用事があってな。今向かおうとしてたところだ」

「あ、邪魔しちゃいました?」

「いや、そんな事ないよ。それじゃ、もう行かないと」


そう言って去ろうとしたら手を掴まれた。


「あの、私、シンさんに興味があるんです。今度一緒にお話ししませんか?」

「あぁ、別に構わないんだけど、こちらの予定に合わせてもらうことになるんだけどいいかな?」

「はい、じゃあ、連絡先を交換しましょう」

「ああ」


 連絡先を交換し、別れた。彼女は黒鉄くろがね彩月さつきという名で一年D組の生徒だった。


「しかし、すごい元気な奴だったな。雫顔負けかな」と言いつつ五階の会議室へ向かう。


ガチャ


「シン遅いよー」

「悪い悪い、下で少し駄弁だべってた」

「あの3人とー?」

「いや、黒鉄彩月って奴なんだけど、今さっき知り合った」

「へー、シンのくせにやるじゃん」


 花奈がおちょくるようにいうと舞がふてくされた顔をした。


「ふん。鼻の下伸ばしちゃって」

「伸ばしてねーよ。まあ、そんな事は今は置いておこう。話をしようか」


 強引に話を変えた。そして、紅茶が出される。


「はぁ、まあ、そうね」

「うん。そうしよっか」


 空気が変わった。今までのような緩い雰囲気から張り詰めた雰囲気に変わった。


「それで?何があったの?」

「あの魔術を使ったやつ正体がわかった」

「本当なの?やけに仕事が早いわね」

「向こうから来てくれたからな」

「そう。それで、誰だったの 」

対魔術師アンチウィザード連合『グラビティ・ゼロ』のシールス・クラッツって言う凄腕のスナイパーだよ」

「あら、シンに凄腕って言わせるなんてそんなにすごいの?」

「あの砲撃3キロ先から撃ったらしい。腕はとてつもなくいいだろ」


 3人は沈黙する。


「そんな奴が今度、攻めてくるの?」

「多分な。今度来るって言ってた」

「最悪ね」

「ああ、最悪だ。行き過ぎれば死者も出るかもしれない」

「みんなに伝えといた方がいいかな」

「今はSDだけにしておきましょう」


 再び沈黙が訪れる。舞は頬杖をついて紅茶を見つめている。花奈は、天井を見上げている。そして、シンはいつ来るかわからない襲撃をどう対処するか虚空を見つめて熟考するのだった。






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