初陣〜牙龍院シン〜
「煉、雫、涼香がSD入団権を手に入れた。俺も頑張んなきゃな」
「そうだなシン。期待してるぜ」
「相手は本校生徒会会長、白夜舞先輩だよね」
「あの人はセブンス使いです。十二分に気をつけてください」
「ああ、勝ってくる」
そう言ったシンは煉とこつんと拳を当てて控室を出て行った。
『さぁー、試合も残り1つ!今年の
『いやぁー、このカードは本当に楽しみですねー』
『はい、連勝記録99の白夜舞さんこの試合に勝てば連勝記録100に到達です!』
「シーーーーンッ!」
白夜舞はシンに抱きついた。
その光景と会場に響いた大声は会場を凍らせた。口を開けたままの者、目をパチクリさせている人エトセトラエトセトラ。
「なぁ、学校ではこーゆーことしないんじゃなかったのかよ」
「ごめん、つい抱きついちゃった」
ブーイングの嵐、もしかすると刀より鋭利な視線が俺に集中した。ちょっと恨むね、舞。
「てか、離れろ」
「ブー、ケチだなぁー。私たち付き合ってるじゃない」
「テキトーなこと言うな。周りが勘違いするだろーが」
えへへ、と言わんばかりにシンから離れながら舌を出す舞が少し距離を置くと殺気を放った。思わず、柄に手をのばしかけてしまうほどの殺気を。
「鍛練は怠ってないようね」
「当たり前だ」
『それでは、参りましょう。最終戦スタートッ!』
「【
顕現呪文を唱えると白い光から一振りの刀が現れた。
「やっぱり、白破刀か。こりゃやんなきゃダメかな」
「早く出しなさいよ、シン。あなたのセブンスを」
舞がそう言うと会場がざわめき出した。
「ねぇ、今聞いた?」
「あぁ、今シンのセブンスって言った…よな」
「私もそう聞こえました」
「シンの…セブンス…」
「はぁ、ここまで晒されたら仕方ねぇか」
「そうよ、素直にそーすればよかったのよ」とニッコリ微笑んでくる
「その笑顔なんかムカつくな」
「毎度のことじゃん」
「だな」と苦笑しながら返す。そして、シンは深く息を吐いた。
「【全てを超えろ、紫紺の雷霆。我は
「おー、それそれ。そのシンの少し荒いところが見たかったのー。かっこいいよ」
「そりゃどーも」
「じゃ、始めよっか」
刹那、2つのクレーターができてその間には刀を合わせている2人が居た。
「あはは、やっぱりシンとの戦いは楽しいよ!」
「その気持ちはわからんでもないよ!」
しばらくにらみ合ったところで先に仕掛けたのは…シンだった。
「牙龍院流魔術 《
「おっと、それはまずいかな」と言って舞は距離を取った。
「ほら、舞も何かやんなきゃ負けちゃうよ?」
「私も負けるわけにはいかないもの。やるに決まってるでしょーが!」
「牙龍院流魔術特式紫の型 《
「牙龍院流魔術特式白の型 《
紫の雷と純白の灰がぶつかると雲散霧消した。
「あれー?これ結構威力高いんだけどなぁ」
「これが鍛練の差かな?」
「まだ、終わったなんて言ってないわよ? 《
摂氏数千度の業火がシンを襲う。
「邪魔だ」
刀を振り上げるとシンを避けるように炎が割れた。
「せめて技使いなさいよっ!」
いつの間にか後ろに回っていた舞が体を捻るように刀を振り下ろした。
「普通だったら今ので決着がついてただろうが俺は違う。舞ならわかるだろ」
ギャリッ
「え??」
素っ頓狂な声をあげたのは涼香だった。
「どうしたの?涼香?」
「あ、すいません。今、シンさんがウチの流派の技を使ったものですから、少し驚きました」
「青矢流を?シンがか?」
「ええ、あれは…」
シンは綺麗に青矢流剣術 《
「さてと、ここか先は高くつくよ」
「そうね、もう十分楽しんだよ」
苦しそうな表情で言った。
「じゃあ、最強と最強でぶつかろう。そっちの方が絶対に楽しい」
「戦ってる時に笑顔なんて私以外にしちゃダメだよ」
「あはは、でも、見込みのあるやつらはいるんだがな」
シンはそう言うと広いスタジアムの中、すぐに見つけられる3人を見た。
「俺も負けらんねーからな、みんなに勝ってくるって言っちまった」
「じゃあ、やろうよ。最後の一太刀で決まる」
「ああ、上等だよ」
シンがそう言うと2人の
「
「
『おーっと、両者ここで決める気だぁ!!』
『ランキング1位の白夜舞さんが若干押されてますね。流石は牙龍院と言ったところでしょうか』
「あれがセブンスの固有能力
「すげぇ、オ、
「とてつもない威圧感です。こんなに離れてるのに」
「これが…セブンスなのか」
「とんでもないね」
「んじゃ、終わりにすっか、舞」
「一位の座は譲らないよ」
「196戦92勝92敗2引き分け」
「勝ち越させてもらうよ」
「それは俺のセリフだ」
「「勝負!!」」
「牙龍院流居合術特式白の型 奥義 《
「牙龍院流居合術特式紫の型 奥義 《
「シン!!悪いけどあなたを灰にするつもりで行くよ!」
「おう、上等だ」
全てを破壊する業火対 全てを穿つ雷槍
白 対 紫
「はぁぁぁぁぁっ!!」
「おぉぉぉぉぉっ!!」
全身全霊、体から
居合はコンマ0.01の差で勝敗は決する。母さんが言っていた。
人生で初めて負けた相手、唯一
人生で初めて戦いを楽しいと思わせてくれた相手、唯一認め合える相手、牙龍院シン。
全てを尽くして2人は交差する。決着はついた。紛れも無い勝利と敗北。
片手をあげ、勝利宣言したのは、
「勝ったぞ!!煉、雫、涼香!!」
『ただいまの激闘を制したのは、一年生牙龍院シンだぁーーーーっ!!』
オ、オォオーーーーーーっ!!会場が今日イチで沸いた。
「大丈夫か?舞」
「ちょっと肋骨いってるから辛いかな」
「ほれ」シンは手を差し出した。
「いい試合だった。今までより全然楽しかったよ」
「ありがと、シン」
シンの手を借りて立ち上がった舞はシンに手を伸ばした。
「握手しよ」
「おう」
この試合を最後に 大きな歓声を残して《
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