出会い
「花奈、飯だぞ。起きろ」
「ん〜〜。もうちょっとぉ〜」
相変わらず間延びした声で返してくる。
「今日ってなんの日か知ってる?」
「ん〜?今日?んー、なんだっけ」
「俺の入学式なんだけど。昨日あんなに騒いでたよね。おかげさまで昨日3時に寝て3時間しか寝られて無いんだけど」
俺がこの寝ぼけた姉に言うと姉は目を見開き一気に起きた。
「おはよう少年っ!今日はめでたい日だね!さあ、朝ごはんだっっ!」
「あー、やっと起きた。これで5回目な。あと少年ってやめろ」
「あれー?そうだったっけ。まあいいじゃない、今日は少年の入学式なんだから」
「さっきまで今日なんかあったっけって言ってたやつが何を言ってるんだか。あと少年やめろ、これ2回目」
「えへへー、まあまあ。いっただきまーす」
嬉しそうに朝ごはんを食べ始める花奈をよそに俺も食べ始める。
「おいおい年の少ない者よー、新入生代表で緊張しているんじゃないのか〜?いつもより食べるスピードが遅いぞ〜」
「緊張なんてしてねーよ。俺はいつもこのスピードで食べてるから。あと少年を変に言い換えてもしてもダメだからな?」
「ほんとぉー?」
「なんで嘘つかなきゃ行けないんだよ…。そう言えばさ、花奈のカレンダーに書いてあったSDってなんなの?初めて聞いたんだけど」
「あー、あれね。あれは〈school defenders〉、通称SD。まあ、普通の学校の風紀委員みたいなもんよ。今年から発足するんだってさ〜」
「へー、それに花奈も入るんだろ?」
「うん、そうだよ。今年からだから気合い入るわぁ。あと、少年と愉快な仲間たちも多分入るでしょ?」
「まあ、牙龍院だからね。いやでもそうなるだろ。あと俺以外に増やしてもダメだからな?」
いちいちツッコンでいると花奈が時計を見て慌て始めた。
「あぁぁぁっっ!!もう時間じゃん」
「はいはい、いってら〜。」
「もう冷たいなぁ〜〜」
花奈が頰を膨らませて二階の部屋へと戻って行った。
「行ってきまーす!!」
「忘れ物とかしてねーよなぁ〜?」
「あぁ、カンペカンペ」
「今度こそ行ってきまーす!」
「昨日持って帰ってきてた提出物は持った?」
「そうだった!」
「今度こそ行ってきます・・・」
「花奈、刀は?」
「あっ、はぁー。取ってきて」
「自分で行け」
「ケチぃぃー」
「行ってきます」
「おー、いってら」
ガチャン、
「はぁー、やっと行ったか」
椅子にもたれかけため息を最大限に吐き出す。
「あの物忘れはどうにかならんものかな」
時計を見るとまだ時間はある。
「花奈みたいにならないように用意はちゃんとしとこ」
あのバカな姉を心の底から呆れながら俺も準備を始める。そして、適当に準備を始めちょうどいいであろう時間に家を出る。
「行ってきまーす」
ガチャン
俺は校長室に呼び出されてるんだったな。
「ちょっと早くいくか」
深呼吸をして走り出した。
春が来たなぁと言いたくなる緑が少し混ざった桜並木の下を全力で駆ける。
「“桜”」
シンが呟くとシンの横に桜の花びらが集まり出し、その中から一振りの刀が現れる。
「この際、校長室まで繋げるか」
「
誰の目にもつかないように見られないようにしてから簡易転送魔法を使う。
目を開けて俺がいたのは龍騎学園校長室の扉の前。
ノックしてから入るとそこには2人の女性が居た。
「失礼します」
「お、来たね、シン君。こっち来てそこに座ってよ」
「はい」
明るく迎えたのはこの学園の校長、白夜
「お久しぶりです。真希さん、いや、校長先生の方がいいのか」
「止めてよ。私は本当はシン君を君じゃなくて様って呼びたいんだから」
「じゃあ、今まで通り真希さんにしときますね」
「そうしてくれるとありがたいわ。まあ、何はともあれ入学おめでとう」
「はい。ありがとうございます」
校長から直々に祝辞を述べられるのも慣れたものでいつもの様に軽く流す。
「まあ、今日来て貰ったのはちょっと気になる情報が入ったから」
「気になる情報ですか」
「うん。最近、諜報員の間でよく耳にしてるらしくて、報告が最近になって急増してる《グラビティ・ゼロ》って言う集団があるらしいんだけどね。それが不穏な行動を起こしてるらしい。って言う報告ね」
俺は一旦黙り記憶を探る。
「《グラビティ・ゼロ》ですか。聞いたことないですね。最近結成されたんでしょうか」
「おそらくね」
「まあ、一応気を付けておきます」
「うん。よろしくね。あと、もう私がしたい話は終わったのだけどシン君からはなにかある?」
「んー、SDについて…聞こうかなって思ったんですけど、説明があるでしょうし真希さんの二度手間になりそうなのでその説明を聞いて分からないことがあったら聞きに来ます」
「うん。じゃあ、シン君は1-Sだから10階の1番奧の教室ね」
「ありがとうございます。それでは、失礼します」
俺が一礼して出ていくと時計は既に登校時間を過ぎている。まあ、担任に事情は説明してあるって言われたし大丈夫だろ。
____________
あ、ここか。なんか緊張するな。
ガラッッ
「牙龍院様が来たぞー」
教壇に立っているなかなか若そうな先生がそう言うと全員立ち上がり「おはようございますっ!」と息ぴったりの挨拶でシンを迎えた。
「あー、えぇっと、悪いが俺はそうゆうのは好きじゃないんだ。 だから普通に接してくれ」
そう言って一つだけ空いた席に座りカバンを下ろすと前の赤髪のガタイのいい男が振り向いた。
「俺は
挨拶をされたから返そうと思ったら煉の隣と俺の隣の女子がこちらに顔を向ける。
「私は
「私は
「おー、よろしくな。俺は
「確かにな」
煉が言うと微笑が生まれる。
シンは笑いながら眩しいな、と言う喉から出かかった言葉を飲み下した。
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