第44話ロンドンに着いた!

さあ、カルマンギアに5人で乗ってデュッセルを出発。

オランダアムステルダムへ向かった。ちょっと不安だった

のが国境だったがやはりマメタンが引っかかった。


オランダに入国拒否とのこと。国境ゲート前で協議する。


「私いいわよ、列車で帰ってデュツセルで待ってるわ」

オオツキ「ほかのところぬけたらあかんかな?」

オサム「出れたとしてもまた入国不可やで」

オガワ「新しくパスポート作ったら」

ボンボン「あ、それええ考えや」

オオツキ「あほか、時間かかるがな。領事館は

     クリスマス正月は休みやで」

ボンボン「そんなあほな」

オオツキ「それに、せっかく取ったコペンのワーパミ、

     パーになるしな」

マメタン「私、正月開けにパスポートを再発行してもらうわ。

     要領分かってるし」

オサム「そやな。ワーパミもういらんやろ」


これで決まった。


マメタン「10日間ゆっくり羽を伸ばしておくわ」


またここでオサムはマメタンを残して彼らについていく。

スキーの時といっしょのパターンになった。


オサム「花嫁衣裳はコペンで買おう。俺のスーツだけ買ってくるわ」


国境の駅で彼女を皆で見送って4人でオランダへ入った。

ユトレヒトからもうすぐにアムステルダムだ。東京駅とよく似た

中央駅の近く、飾り窓の女で有名な一角にアムスのユースはあった。


旧市街のダム広場。石畳にやたら犬のくそが目障りだ。

いたるところ橋ばかり。ユースの前でもマリファナを売っている。

そういえばこの春先マメタンとパリからアムスに立ち寄った。


駅前通りの映画館でなつかしのサンダーバードをやっていたので

中に入ったらなんと灰皿つきの座席だった。あの時は2人ぼっちで

すぐ翌日デュッセルドルフへ急ぎ戻ったな。


夕暮れともなると2,3軒おきに大きな窓越しにそれらしき女の人

が窓際に腰掛けて、それとなくしなを作っている。とんでもない

年増さんもいる。若い娘は少ないみたいだ。ドイツよりもオープン


な明るい公娼制度、日本にはない赤線だ。我々へんにまじめな

グループは片目でそれをながめながらあちこち歩き回った。犬の

糞をふんずけながら。ほんまにアムスはくそだらけだった。


(マリファナ、ハッシシのことを”くそ”隠語でという)


ドーバーの白い壁とはよく言ったものだ。フェリーですぐに渡れる。

泳いでわたれるくらいだから近いのだ。すぐに水平線上に白い絶壁が

見えてくる。遠く一直線に見えてきたものがじわじわと帯状に、


さらに近づいて屏風上になったかと思うと数十メートル級の大絶壁

が思いっきり視界一杯に広がる。ナチスがフランスに攻め込んできた

時、多くのフランス人が数多くの小船に分乗して、この海峡をあの


白い壁を目指してせっせこせっせこ、漕ぎ出したのだ。その胸の内、

唯一の希望の白い壁だったのだ。まもなくこの下にトンネルが通る。


おっと!上陸と同時に左側通行だ。そこはカルマンギアのオオツキ

さん、心得たものだ。モーターウェイをひたすら北上する。


「制限速度40キロ?こんなハイウェイで?」


「いや、あれはマイルや。40マイル。1.6倍で時速54キロ。

イギリスはずっと伝統とかでマイペースでやってはんのや。欧州

大陸が右側通行でkm/時で統一されてんのに。左側通行でマイルや。

イギリスは取り残されてまうでこのままやと」


オオツキさんのご意見はもっともであった。


とうとう着いたロンドンや!あのビッグベンの時計が見える。

テームズ川。セントピーター寺院。大英博物館。バッキンガム宮殿。

さすが植民地の国。宮殿の衛兵にはアジア系もたくさんいた。


ハイドパークにオックスフォードストリート。ボンドストリート。

リージェントにピカデリーサーカス。ソフォー。カーナビーストリート。


ものすごく多人種の国。パリと同じだ。その中にオーソドックスな

丸帽とタキシードにこうもり傘を持った若いのが歩いていたりする。


パリには屋台のケッテ屋がたくさんいた。合法的で堂々とやっていた。

路上ヒッピーは全くいない。ロンドンにも路上ヒッピーは見かけない。

大通りに車輪つきの屋台で販売をしている。時々ポリス、馬に乗った


あのポリスが来ると。そろそろと屋台を引いて裏道へと逃げる。

ここも追いかけっこだ。馴れ合いで全く緊迫感がない。


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