第39話チューリンゲンの森を戦車と競争

フランクフルトへ戻り北を目指す。

チューリンゲンの森が国境沿いに続く。

西のシュバルツバルトはザールの工場煙


の酸性雨のために名物の黒きもみの木が

枯れかけてて頂上付近は苗木が育たず

誠に無残であったが、チューリンゲンの


もみの森林は実に見事であった。その中心

フルダの町、ここがよく売れた。我々一組

だけで全くのフリー。オートキャンプ場に


泊まり一週間ほど居座ってみよう、とても

良い所だ。夏のバカンスの時期でもあって

多くのファミリーがいた。キャンプ場は


車ごと乗り込んでテントを張ったり車中で

寝たり。大型キャンピングカーもたくさん

来ている。炊事場、シャワー、トイレが


完備していて、売店もある。イギリス人の

家族と仲良くなってご馳走するから来いと

言われていったら、ブラートブルストと


ポンフリだった。翌日焼き飯を持っていく

とものすごくうまいうまいと感激していた。

そういえば、トランプのカードをぱらぱらと


切ったら皆びっくりしてもう一度やってくれ

なんていうこともあったな。そうしたある日。

にんにくをいっぱいいれて、野菜炒めを作っ


ていたら、ドイツ人の高校生3人組が、ちょ

っと離れた所で肩を組んで、


「ゲナウゾー、エッセンス!」


と3回繰り返して、花いちもんめみたいな事をする。


『なんやそれ?文句があるならちゃんと言うてこい』


と思いつつ見とれていたら、さらに3回繰り返して

去っていった。いまだにその意味は分からない。


さて、フルダを出てニュルンベルクへ向かう

チューリンゲンの森の中のアウトバーン、

このあたりは車の数が極端に少ない。


立派な高速道路をこの1台だけが走っている。

対向車もほとんど来ない。何でこんな所に

こんな立派な道路を作ったのだろう?


アウトバーン東北道といった感じだ。時速

100kmで淡々と走っていた。マメタン

は熟睡している。オサムも眠たくなってきた。


と、その時、何か後方に不穏な気配を感じた。

走りながらじっと耳を澄ます。何かゴーッと

いう音が近づいてきている。間違いない、


だんだんと近づいてきている。走りながらも

揺れを感じる。あーっ!大地が大きく揺れて

ものすごい音だ。見えた見えた!戦車だ!


1台の大型戦車がアウトバーンと並行して

続いている一般道路をものすごいスピードで

走り抜けてくる。ここは富士演習場でもなん


でもない、普通の道だ。ものすごい音とゆれ

の中で林ひとつ隔てて戦車が真横に並んだ。

でかい!白くNATOと真横に描いてある。


北大西洋機構軍の戦車だ。ドイツには兵役が

あって今ではNATOの元独仏軍は仲良く、

米軍ともども訓練を受けている。サッカー


やってるのがドイツ軍でキャッチボールして

いるのが米軍だ。小型戦車を列車で運んでい

るのを何回か見た。戦車と競争するなんて、


日本では到底考えられない。それほどこの国

の軍事情報はオープンなのだろうか?

そういえば、ここら辺でUFOを見たんじゃ


なかったか?チューリンゲンバルトは確かに

ミステリアスだ。山に登ると何とかの妖怪と

いうのが見えるのもこのあたりか?


(ブロッケン山の妖怪はも少し北方)

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