ワイルドキャッツと科学部


授業が終わり、皆より少し先にロッカーでバスケユニフォームに着替える。


トロイはコーチと話してて、チャドはテイラーに声をかけに、ジークはシャーペイに話しかけに行ったから、なんだけどね。


着替え終えて、余った時間でケルシーと会話する。


少し話していたら、ワイルドキャッツのメンバーが集まり始めた。


「よう、ジェイソンにケルシー!」


「ケルシー、元気か?」


「何かあったら協力するから言ってくれよな!」


なんて声をかけてくれて、ケルシーは嬉しそうに笑って答え、僕はそれを見て安心する。


「よ、ジェイソンとケルシー!」


ワイルドキャッツの仲間たちがロッカーに着替えに行くと、入れ替わるようにチャドが現れた。


「やあ、チャド!」


僕は笑って答えつつ、チャドとハイタッチする。


「チャドってば、いつも元気ね!」


ケルシーは元気で明るいチャドをみて、笑ってそう言った。


「おうよ、丈夫な身体と元気は俺の取り柄だからな!」


チャドは笑って言い返しつつ、何故か胸を張る。


「あはは、ジェイソンに似てるかも!ジェイソンも身体丈夫だし元気だしね!」


どうやらチャドがツボらしいケルシーは口元を抑えて大笑いする。


「ケルシーの言う通り、確かに僕もそうだけどさー…」


なんて、少し笑って答える僕。


「あ、そうだ!2人ともトロイ知らね?」


チャドが不意に思い出したように僕らに尋ねてくる。


「トロイなら、コーチと話してくるって言ってたけど…」


そう僕が返せば、チャドは驚いていた。


「マジかよ!…仕方ねえ、取り敢えず着替えてくるわ!」


びっくりしていたチャドは、一瞬で切り替えて颯爽とロッカーに着替えに行った。


少ししてからジークとトロイも着替えに行き、ワイルドキャッツが集合する。


「皆、頑張ってね!」


ケルシーの応援を合図に練習が始まる。


たまにチラッと見たケルシーは、いつもの位置(byチャド)からワイルドキャッツを眺めていた。


今日も早めに切り上げさせて貰い、サッとシャワーを浴び、着替えてケルシーの元に。


ケルシーは変わらず、楽しそうにワイルドキャッツを眺めていた。


「ケルシー、随分と楽しそうだね?」


僕が声をかければ、ケルシーはびっくりして僕の方に振り返って。


「わ、ジェイソン!いつの間に!?あぁ、びっくりしたー!」


ケルシーは心底驚いたからか、大きめな声で話す。


「いつの間にって、僕ついさっき来たばっかだよ!」


なんて答えながら、いつもの様にサポーターを外して鞄にしまい、車椅子を押していく。


学校を出たあたりで、僕達を見かけて慌てて来たテイラー達と合流して、帰路につく。


ワイルドキャッツも科学部も、皆凄く良い人ばかりだな、なんて考えていたのは内緒だけど。


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