男子生徒と女子生徒
次の日、教室に入ると…仲良くなったテイラー達と普通に挨拶を交わした。
ケルシーがテイラー達と会話しているのを横目に、僕はトロイ達の元に行く。
「おはよう、皆」
僕がそう挨拶すれば、ジークとがっちり手を握り締め、トロイとハイタッチして、チャドと拳同士を軽くぶつけ合う。
「つかジェイソン、お前ってあいつらと仲良いのかよ?」
なんて指を指しながら急に聞いて来るチャド。
指を指す方向に居たのはもちろん、テイラー達で。
「ケルシーの友達だよ?まぁ、仲は悪くないけど…」
そう返せば、チャドは驚き冷めやらぬ表情で。
「マジかよ!女と仲良しとかありえねー!」
と割と大きめな声で叫んで。
「僕は…少なくとも、僕は誰が誰と仲良くしてても良いと思う、けどな…」
僕が少し小さめな声で言い返すと、いつの間にかテイラー達が居て。
「うるさいわよ、山猿!」
テイラーは眉間にしわを寄せ、腕を組みながら、強い声でチャドに向かって言い放つ。
チャドはテイラーを強く睨みつけた。
「私達はケルシーの友達なの」
睨み合うチャドとテイラーをマーサがなだめて引き離しつつ、ガブリエラがゆっくり話し出した。
「でも、私達は仲良くなったばかりだし、ケルシーだって私達と話す度に病気の話ばかりなんて嫌だろうから…」
「ジェイソンからも話を聞いてるってだけよ」
「私達だって、ジェイソンみたいにケルシーを支えてあげたいもの」
ガブリエラはケルシーの側に座り込んで優しく手を握り締めた。
ジェイソンはびっくりした表情で、ケルシーは驚き混じりだけど嬉しそうに笑った。
「だから、仲良くしてたって…別に良いでしょう?」
ガブリエラが笑顔でチャド達を見れば、チャドはまだ少し怒りが混じってはいるが、納得した表情で。
マーサになだめられていたテイラーも、怒りを収めていた。
「僕たちが仲良くすれば、色々連携もとれて役立つし…僕としては、ケルシーに同性の友達が出来たのが素直に嬉しいんだよ」
僕は笑ってガブリエラみたいにしゃがんで、ケルシーの手を包み込みながら話す。
「…わかったよ、変なこと言って悪かった」
チャドは素直に謝り、テイラーやガブリエラ、マーサに対して頭を下げた。
「私も、少し言い返し過ぎたわ…ごめんなさい」
テイラーもまた、素直にチャドに謝った。
「…友達同士、よろしくな!テイラー」
チャドが照れくさそうに手を差し伸べる。
「ええ、よろしく!チャド!」
テイラーも照れくさそうにはにかみつつ、チャドの手をしっかり握りしめ、握手を交わした。
トロイやジークもガブリエラやマーサと早々に打ち解け、仲よさそうに話していた。
僕はゆっくり立ち上がり、ケルシーの頭を優しく撫でた。
「本当、ケルシーに同性の友達が出来て良かった」
本音をポツリとこぼせば、ケルシーは僕が頭を撫でたのが恥ずかしかったからか、なんだか照れくさそうな表情で僕の手を優しく握りしめた。
「…私のことばっかり、心配し過ぎなのよ…ジェイソンは」
「…昔から、ずっと」
ケルシーはそう言って、ふわりと笑った。
「そうかな…ちょっと心配し過ぎてるかな、僕」
僕が色々考えながらそう返せば、僕の表情が面白かったらしいケルシーはケラケラ笑っていた。
「私は、もう少し心配せずに…気楽に考えていて欲しいな、ジェイソンには特にね!」
ケルシーは笑い過ぎて涙を拭いながらそう答えてくれた。
「わかった、もう少しだけ…気楽にいくよ」
そう言って、僕はケルシーの手を優しく握る。
「ジェイソンは、マイペースでのんびり屋なのが一番よ」
ケルシーはやっと笑いが落ち着いたらしく、ふわりと笑った。
学校が終われば、仲良くなった男子と女子と、一緒に帰路についた。
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