学校生活


ひそひそ話に気づいたケルシーは俯いていた。


説明しようか、どうしようかまよっていたら、急に声をかけられた。


「よう、お前って運動得意か?」


なんていきなり聞かれ、ちょっと驚く僕と、それを見て俯いたまま肩を震わせて笑うケルシー。


「え、まあ…イースト高もバスケ推薦で受かったから…」


マイペースでのんびり屋で昼寝が好きな僕だけど、運動神経は天性なのか良くわからないけれど、良い方だった。


小さな頃から、友達に誘われてはバスケにサッカー、野球に走ることもやった。

基本的な運動は大体出来てはいた。


まさか、バスケ推薦でイースト高に受かるとは思いもしなかったけどね。


ちなみに、ケルシーはピアノ推薦でイースト高に受かった、音楽の才能の塊。


「おー!マジかよ!俺やトロイもバスケ推薦でイースト高来たんだ!」


茶褐色の、強い癖毛でドレッドとアフロを足したような風になった、褐色肌の男の子が、凄く嬉しそうに僕の肩に腕を回して来た。


「そっか、同じ仲間だね!僕はジェイソン、ジェイソン・クロス!君は?」


僕が自己紹介すると、男の子は笑って応えてくれた。


「俺はチャド!チャド・ダンフォース!よろしくな、ジェイソン!」


ガッチリと握手する僕ら。


そこに、ちょっと日に焼けた肌の、茶色のボブぐらいの長さの髪の青い目の男の子が現れた。


「チャド、何やってんだ?」


僕とチャドが笑っていたのが気になったらしい。


チャドは「俺たちと同じバスケ推薦で来てる、ジェイソンと話してたんだよ!」って嬉々として説明していた。


「君がジェイソン?僕はトロイ、トロイ・ボルトン…チャドとは幼馴染なんだ、よろしく!」


またもや、ガッチリと握手を交わす僕。


ケルシーはそんな僕らを楽しげに見つめていた。


そんな3人で会話していると、黒人の長身の男の子が声をかけて来た。


「な、お前らバスケ推薦だって話してるのが聞こえたんだけど…お、俺もバスケ推薦なんだ!俺はジーク、ジーク・ベイラー!」


手を差し出され、それぞれに握手を交わす。


気づけば色々なメンバーが色々と会話して、教室中大騒ぎな状態だった。


「そういやさ、ずっと気になってんだが…何でジェイソンは車椅子押してんだ?」


チャドがずっと気になっていたらしい事をいきなり訪ねて来た。


「え、あ、ケルシーは先天性…生まれつきに病気なんだ、見た目にはわかりづらいってかわからないって良く言われるんだけどさ」


そう説明すれば、トロイとチャドとジークがケルシーをマジマジと見つめていた。


ケルシーは驚くやら恥ずかしいやら、ぐいぐいと僕の服の裾を引っ張りまくっていた。


「えーと…よろしくな、ケルシー!」


ジークが手を差し出し、ケルシーはゆっくりと握るだけの握手をした。


「ええ…よろしくね、ジーク…それに、トロイもチャドもね!」


ケルシーは恥ずかしそうに笑って。


「おう、よろしくな!」


「よろしく!」


2人もケルシーと握るだけの握手を交わす。


「で、ケルシーの病気って何なんだ?」


そうチャドが訪ねた瞬間にチャイムが鳴って、先生が入って来た。


チャド達には後で説明する!って言って、慌ててケルシーの席に行ってから自分の席に座る。


席はケルシーは1列目1番前、僕は2列目の1番後ろだった。

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