新しい日々
「ジェイソン、朝だよ!起きないと初日から遅刻しちゃうよ?」
朝、固めの物でペシペシ頭を叩かれる感覚と共に聞こえる幼馴染、ケルシーの声で目がさめる。
「んー…眠い…」
朝が余り得意じゃない僕は、そんなことを呟きながら、目をこすりつつ欠伸をする。
「もー、ジェイソンは本当に早起き苦手だね」
いつの間にか椅子に座っているケルシーは、僕に笑いかけた。
「昔っから眠りが深いんだよ、多分きっと…」
2度目の欠伸を嚙みころしながら、笑ってバスルームに行く。
髪を整えたり歯磨きしたり、ヒゲ剃ったり着替えたりと割と忙しい。
全てを終える頃には目は覚めて、椅子に座って朝食を食べる。
もちろん、ケルシーも一緒に。
ケルシーの家は父親が難病を抱えた娘を見捨てて逃げ、お母さんはプロのピアニストで色々な所に出払っているから、基本的にケルシーは僕の家に居候の様な形で暮らしている。
「んー、今日もママの朝食美味しいね!」
ケルシーが僕の家に居候して11年。
いつの間にか、ケルシーは僕の母さんの事も本当の母親のように“ママ”って呼ぶようになった。
僕の母さんは娘が出来たみたいで嬉しい、って笑っていた。
「うん、いつも美味しい朝食をありがとう、母さん」
ケルシーにつられるように母さんにお礼を述べる僕、それを聞いて笑うケルシーと、嬉しそうに笑う母さん。
いつもの朝の流れになんとなく安心していたら、ヤバい時間帯になっていて。
「あ、ヤバい!」
僕はそう口に出して、慌てて鞄を持ってくる。
「のんびりし過ぎちゃったね…」
ケルシーは苦笑いしていた。
ケルシーを車椅子に乗せ、足のサポーターを外して、僕の鞄に放り込んでから、車椅子を押して家を出る。
ギリギリ、本当にギリギリで学校に間に合って、僕もケルシーも安堵した。
クラスの人達は、ケルシーを見てびっくりしたり、ひそひそ話しているようだった。
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