雪海の剣闘機:サグクマの神
青葉台旭
序
人から生まれたから人なのではない。
死ぬまで怪物にならなかった者だけが人と呼ばれるのだ。
……浮遊国家オルビスガンマ第六階層の路上で死んだ詩人のメモより
* * *
〈浮遊国家オルビスガンマの歴史家、
……かつて、世界は土に覆われた場所と、塩水に覆われた場所に分かれていた。
雪は、ほんの少ししか無かった。
土に覆われた場所は大地と呼ばれ、塩水に覆われた場所は海と呼ばれた。
あるとき、空から大量の雪が降って来て、大地と海を覆った。
あらゆる物は雪の中に沈み、世界中に何百億人もいた人類のほとんどが死んでしまった。
残された人々は、この大量の雪を……世界を覆い、すべてを飲み込んで沈めてしまった雪を……塩水の海に例えて「
生き残った
その科学者は、異世界から
雪海の底の無人自動国家建造工場で、彼の設計した円盤型閉鎖階層構造の人工国家が大量に造られた。その数は何千とも何万とも言われている。
完成した無数の人工国家は、人類の生き残りを乗せて雪海の底の工場から雪海面へ次々浮上していった。
その直径はおよそ二百キロメートル。高さは一万四千二百メートル。内部には百四十の階層が有り、延べ床面積は四百三十九万平方キロメートルにも達した。
「
浮遊国家の中心には第一階層から第八階層までを貫いて、
雪の上に浮かびゆっくりと移動を続ける巨大閉鎖国家の内部で、総合中央大制御装置の管理する快適な環境の
世界が雪に覆われる以前……まだ「大地」と「塩水の海」があった時代……人類は戦争に明け暮れていた。
他国を攻撃し、自分の国を護るため、人々は「兵士よりも強い兵士」を、「人よりも強い人」を欲した。
そして、自らの「
「
この「
やがて牛や犬や鹿に似た兵士たちは、人間の女たちと交わり、子を産ませ、その血は……その「
いったい「
異世界から
しかし、
そう……私の……あなたの……広大な雪海に浮かぶ無数の浮遊国家の中に住む無数の人々の血の中に……
雪海の剣闘機:サグクマの神 青葉台旭 @aobadai_akira
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