第10話

集中すること数時間…。




時計を見ると長針と短針は8時を指していた。もうこんな時間。僕はぐーっと両手を上に上げて伸びをした。




「ふぅ、がぁ!もう、ピオラが切れたー!」




「ピオラってなに?」




声の方を振り替えると、珈琲カップを片手に持った純名さんが後ろに立っていた。



「純名さん!?先に帰ったんじゃ…」



「後輩に仕事振っといて先帰れるかよ。外回り行って帰ってきた所。切りのいい所まで終わった?ーーーはい、珈琲。」


「珈琲あざーす。はい、ここ迄終わりました!」



純名さんが俺のそば迄来てパソコンの画面を除き混む。あ、いい匂い。


「そうか、よくできました。じゃあ、飯でも食いにいく?奢るよ。」



「え、いいんですか?ご馳走になって。」



「もちろん。」


純名さんの優しい笑顔がそこにはあった。


純名さんとさし飲みって初めてだ。なんか、嬉しいかも。寝坊して良かったな…とか思ったりして。


「何食いたい?」


「おでん、一択で!」


「ははは。やっぱりお前、面白いよ。」



僕達二人は会社を後にした。

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