第6話
ここは6Fの喫煙室。扉を開けるとやに臭いにおいが漂っている。
とりあえず一服するかと、純名主任連れてこられた。
幸いこの時間、他の利用者はいなかった。二人は空気清浄機付きのテーブルの前に隣り合わせで立つ格好となり、目の前には硝子張りの窓となっていて、道路を挟んで隣のビルがの見渡せた。
口火絵を切ったのは純名主任だった。
「何か、見たでしょ、高槻君。」
「えっと、まぁ…見たというか、聞いたというか…。」
やっぱり、と言った顔をして純名主任は続けた。「駄目だよ、人のいざこざ立ち聞きしちゃ」
「すみません。いや、絶対俺、誰にもいいませんからっ!」
「そう?だと有難いんだけど、何か弱味握られちゃったなぁ。」
「はぁ。そう言われましても…」聞いてしまった物は仕方ない。
「じゃあ、交換条件。高槻君の言うこと何でも一個聞いてあげるよ。それでチャラっていうのは?どう?」
「どう?…と言われましても、全然思い付かないんですけど」
「いい女紹介するとか、君の人事の査定色付けるとか、色々あるけど」
俺は少し考えて、「うーん、俺そういうの苦手なんで、いいっす。」と言った。
純名さんは意外そうに「そう?高槻君って変わってるね…。ま、今答え出さなくても考えて置いてよ。」
そういうと、純名さんは「お疲れ様」と、俺の肩をポンっと叩いて、先に帰っていった。
何か、拍子抜けしたな。もっと凄まれるか、懇願されるかどっちかだと思ってたのに。俺の方がドギマギしちゃった。何かある意味肝座ってたな。
それにしても純名主任、いい匂いしたな…。
俺は何故か、純名主任にポンっと叩かれた肩が、熱を帯びたように熱かった。
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