第4話

それは3ヶ月位前の事だった。 


俺は西岡さんから頼まれた書類を取りに、3Fの資料室へ行った。エレベーターに乗り3のボタンを押す。顔を見上げて「6→5→4→3」と数字が表示される電光掲示板をぼーっと見ていた。



ドラクエって、人の家の壺勝手に壊して、勇者というより盗賊だよな。


等とふと考えてる間に、ピンポーンっと、お目当ての3Fに着く。



資料室はエレベーターを降りてすぐ、右に曲がって真っ直ぐ行った突き当たりの一室だった。

普段から薄暗い、狭い12畳位の部屋だろうか。



ドアの前に立った時、中から人の話し声がしてきた。




「俺は、別れたくないよ!」

「悪い所があったら直すからさ。」 



男性の声がしていた。別れ話の縺れだろうか、ヤバい所に出くわしちゃったなぁと思いながら、どうしたものかとドアの前で立ち尽くしていた。



「とにかく、俺は諦めきれないから!」とさっきより一層大きな声がドアの近くから聞こえた。



ヤバい、出てくる!?


とっさに俺は踵を返してエレベーター迄戻り、資料室とは反対側の左側へ曲がった。



今思えば曲がりきって、完全なる死角に隠れれば良かった。


一体どんなカップルがこんな昼間から痴情の縺れをやらかしてるんだと、嫌らしい気持ちが先立ったのがいけなかった。



バレやしないだろうと俺は曲がり角の際からそっと、顔を出して覗いて見ることにした。



すると、数秒遅れで、二人が少し速歩きでエレベーター側に向かってきた。






でも、現れたのは、男と、男!?





一人は半泣きの20台半ばの爽やか好青年といった感じで、後発を歩いてきた、やれやれと言った様な顔をした男性はこれまた爽やかイケメンのーーーーえ!?





純名主任だった。




驚いて固まってしまった俺と、チラッとだが、しっかり目が合った純名主任は、そのままエレベーターに乗って上のフロアへ向かっていった。


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