第3話

「ジントニック」


俺はPM8:00少し前に、約束のバーに来ていた。店内は薄暗いオレンジの優しい色の照明で照らされている。カウンターやテーブルは、木目調の落ち着いたいい雰囲気の造りで、約20席位だろうか。


自分がいつも少し先に来て、純名さんは少し遅れてくる、それがお決まりのコースだった。


でもこの落ち着いた、居心地のいいバーも、いつものポストイットのメッセージも、自分は馴染めなかった。


今日は遅いな…腕時計に目を落とすと、長針と短針は8:20を指していた。


待つ時間もデートのうちだから楽しいだなんで、何かの小説で読んだ事があったけど、現実はそんな事なく、少なくとも、俺はごめんだと一つため息をついた。



何回目だろう、こうして待ち合わせする様になったのはーー。



俺は少し昔を思い出していた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る