青春チョコレート

@Re0128pop

第1話 初恋と失恋と ①

3月20日


 それは人生で初めての恋だった。


 彼は元気で、誰にでも優しくて、とても素敵な人。


 そんな彼のことを、好きになった。


 それでも告白なんてできず、気づけば卒業式。


 私は勇気を振り絞って告白をした。


 学校の体育館の裏。二人だけの空間で私は震えた絞り出すような声で


 自分の気持ちを伝えた。


 「ずっと…ずっと前から好きでした。」


 彼は少し驚いたような顔をして、そのあと私の目を見てしばらく黙っていた。


 そして目をそらして、


 「ありがとう。でもごめん。俺、五年生の頃から好きな人がいるんだ。」


 彼は少し照れたように笑って、また私の目を見てそういった。


 「だからごめん。」


 彼の笑顔がまぶしくて、私は少しうつむいた。


 私のほうがあなたを好きな時間はずっと長いのに。


 もう少し早くあなたにこの気持ちを伝えていれば、


 私の片思いは、両想いで終わったの?


 彼は最後にもう一回私に、ごめん、とだけ言って行ってしまった。


 私はその場にひざから崩れ落ちて、叫ぶように泣いた。


 それでもう、終わりだと思っていた。

  

                                 つづく


 

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