第4話 出会い②
焦ったクボは「俺じゃありませんように」と願いながら、気づいてないふりをして地面を見ることにした。少女の黒いローファーと白いルーズソックスが視界に入る。悪いことはしてないはずだが、職務質問を避ける不審者のようだった。さらに右に一歩ずれ、やり過ごそうと試みる。
「何逃げようとしてんのよ。あんたよ。あ、ん、た」
さらに距離を詰められた。この女子はパーソナルスペースが近い。ふんわりといい匂いが漂ってきた。コーナーに追い込まれて逃げられない。コミュニケーション能力が乏しく、女子との接触に慣れていない男子特有の反応だった。観念して恐る恐る顔を上げる。
「な、なんですか? 」
声がうわずり蚊の鳴くような声だった。ヤンキーにカツアゲされているみたいだった。相手の年齢がわからないため、とりあえず敬語を使う。我ながら情けない。
「どうしたの? 」
目の前の女子と同じ制服を着た、背の高いすらっとした黒髪ロングの美人が現れた。新手だ。二対一。絶体絶命。
「いや、こいつがさ〜。逃げるのよ。あんたなんで逃げるのよ? 」
「そ、そっちが突然迫ってくるから......」
なんなんだろう。喋れば喋るほど情けなくなる気がする。その時ヤハギが現れた。
「どうした、クボ? 」
二対二になった。クボは強気になる。
「この人たちが急に......」
「ササヤンじゃん。久しぶり! 」
ヤハギが嬉しそうに目の前の子とハイタッチした。
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