02 ネットストーカー

ネット上では、彼とおぼしきユーザーのアカウントを何度となく目撃した。


ホームページ、短文投稿サイト、ブログ、動画投稿サイト。



そのどれもに、もちろん彼の本名や顔、大学の名前などリアルな彼をあらわす情報は記されていない。


ただ、彼の人柄や元気そうな声、私を惹き付けて離さなかったその巧みな文章力や鋭く光る知性なんかは、至るところに宝石のようにちりばめられているのであった。



わたしは、そのどれもをごく頻繁に、まるで寄生虫にでもなったかのようにチェックしているが、直接コンタクトは一度も取っていない。


それはきっと、私の心のどこかに少なからず後ろめたさがあるからなのだろう。




――あのときの事に関して。

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