第63話 リトーへ反撃
「ピコハンは今すぐにでも玄武になるべきなんだよ、だから諦めて大人しくしてほしいな!」
リトーが告げると白い枠の外に巨大な骨の顔が現れた!
その口が開きピコハンは横へ飛びのく!
その瞬間骨の口から真っ白のレーザーの様な物が放たれた!
「へぇ、よく反応したね」
リトーが口にする言葉の通り今の攻撃は予測していなければまず回避不可能な攻撃であったのだ。
ダンジョンで今まで直感で危機を回避してきたピコハンだからこそ避けられた攻撃である。
「殺すつもりなのか?俺を玄武にするんだろ?」
「大丈夫、当たっても君ならきっと瀕死で助かるよ」
そう言ってリトーは再び手を横へ滑らせた!
直後ピコハンを囲っていた白い結界がリトーの腕と同じ方向へ物凄い速度で動き出す!
籠の中に何かを入れてその籠を振り回すように結界に押し潰されそうな状態のままピコハンは結果毎リトーの周囲を回りだす。
「ホラ!ホラ!楽しいでしょ!」
笑うリトーが指を動かすと地面から白い柱が何本も生え出す!
結界はその白い柱を素通りして行くのだが押し付けられているピコハンは危険だと判断し身をよじったり転がったりしてそれを回避する。
「凄いねピコハン!君は最高だよ!」
嬉しそうにリトーが笑みを浮かべたまま指を動かし続ける!
上下左右に白い結界が通過するその場所を柱が生えてピコハンを攻撃しつづける!
「ほら!今度はこっちだ!」
結界が止まったかと思ったら今度は逆方向へ白い結界が動いてピコハンは反対側の結界に貼り付けにされたように身動きの自由が奪われる!
「これならどうだい?」
地面に水平に動いていた結界が今度は上に浮かび上がりリトーの頭上を超えて反対側へ落下する!
「ホラッ!ホラッ!ホラッ!ホラッ!」
まるで紐に何かを括りつけてそれを振り回して叩きつけるようにリトーはピコハンを結界ごと振り回し叩きつける!
方向が変わるたびにピコハンは白い結界にぶつかられ何とか転がるように動いたりして通過する柱を回避し続ける!
「はぁ・・・はぁ・・・いい加減に諦めなよ!」
結界が動いている所へ今度は柱だけでなく骨が先程のレーザーの様なものまで打ち込みピコハンは目まぐるしく振り回されながらそれすらも回避し続ける。
その様を見て流石のリトーも徐々に余裕が無くなって来た。
腕の振りも先ほどと比べたら遅く結界に叩きつけられていたピコハンにも少しずつ余裕が生まれ始める。
「くそっ、なんで・・・なんで当たらないんだよ・・・」
白い線のみでその姿が描かれているリトーは口数も減り始め疲労が蓄積されてきたのをピコハンは見逃さなかった。
そして、遂に地面に結界ごと叩きつけられた状態でリトーの動きが止まった。
「うぉおおおおおおお!!!!」
疲れたのかリトーが腕を降ろしたまま動かなくなったと同時にピコハンは吼えながらリトーの方向へ走りだす!
それを見て疲れながらも笑い声を上げるリトー。
「無駄無駄無駄だよ!その結界は誰にも破壊出来ないんだから!」
自分に向かって走り出したピコハンを見て肩で息をしている様に動かしながら声を上げるリトー。
だがそんな事を一切気にしないピコハンは物凄い勢いで結界の壁に向かって飛び蹴りを仕掛けた!
するとその衝撃が伝わったのか白い結界はリトーの方へ動き出す!
「う・・・嘘だろ・・・こんぎゃはっ?!」
そして、そのままリトーは白い結界に轢逃げされる様にぶつかる!
結界の衝撃で吹き飛ばされたリトーは地面を滑って転がり仰向けになって倒れた。
それを見てピコハンは倒れたそこへ結界を押し付けて追撃をしようとするのだが突如白い結界が消失しピコハンは白い枠の外へ飛び出した!
ピコハンは着地をミスり勢いそのままで地面を転がったが慌てつつも冷静にまわりを警戒した。
今ならリトーに反撃が出来る!
そう考えたピコハンがリトーへ向かって攻め込もうとした時であった。
突然ピコハンの目の前に白い柱が地面から生えて邪魔をする!
「ははは・・・まさか結界を使って反撃してくるとはね、もしかして君ダンジョン以外の何か特殊な力か加護もってる?」
リトーは嬉しそうにそんな言葉を投げかけてくる・・・
だが、ピコハンはそんな事を態々親切に伝えてこちらの情報を与えるわけにも行かないと考え返答せずにリトーを睨み付ける。
リトーもこれ以上はピコハン相手に何も出来ないと悟ったのか突然その白い体は霧に消える様に消え去った。
「くそっ、逃げられたか・・・」
ピコハンはそう呟いて真っ暗な天を見上げた時であった・・・
「ピコハン!起きて!!」
その声に一瞬にして息が戻ったピコハンはアリーの膝枕から飛び起きる!
リトーを追い返したことでピコハンは目覚める事が出来たのだ。
そして、その体から大量の寝汗を出しながら周囲の状況に目を配る・・・
「ここは・・・ダンジョンの入り口横か?」
「うん、ピコハン・・・今回は本当にありがとうね」
そう告げるアリーに興味をそれ程向ける事無くピコハンは周囲を警戒する。
もしもリトーがアリーに何かを仕掛けようとするならばダンジョンの傍と言うこの状況ほど美味しい状況は無いだろうと考えていたのだ。
だが特にこれと言った事も何も無く、ピコハンの肩の力が抜いたのを見て笑いながらアリーはピコハンの村へ帰る準備をし始めるのであった。
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