13
その時、天の助けが自分の方からやって来てくれた。
「あ、あの!
見かねて待機していた所から走って来てくれた響様。その隣には追ってきた奏様が静かに寄り
奏様がイケメンさんを見る目はまるで……お母さんが蛇を見る目、心底嫌いなものを見る目つきと同じだった。いや、それよりもさらに
「儀式はまだ終わっていないんですよ?
「ま、まぁ。お前の頼みなら……仕方ねぇな」
……ハハァン。なるほどなるほど。ほーん。
イケメンさん――鈴様は響様のこと、お好きなんですね? それも、千早様にストーカーなんて呼ばれちゃうほど。それに、響様もさり気なく腕に触れてるあたり、まんざらでもなさそうだ。
この二人、黒木さんと瑠衣さんよりくっつくのが早いと見た!
「おにいさん、こっち!」
鈴様と響様の手を引っ張り、朱門を
奏様はちょっぴり不服そうにしてたけど、元いた待機場所に戻ってくれるみたいで私達とはそこで別れた。
「ふくはーうち、おにもーうち! ただし、よいおににかぎる!」
私が大声で宣言した言葉に、皆は最初驚いてざわついていた。
「良いな、それは。たしかに、今代は人外の存在に
「あい!」
帝様の鶴の一声でざわつきはこれからある豆
この作戦を一緒に考えた海斗さんを探しあて、ブイッとVサインを出すと、海斗さんもニカッと笑い、親指を立てて
「ふくはーうち、おにもーうち!」
うははははっ! 楽しいぞぅ!
準備された豆を色んな所に
奏様や響様のお顔はとても晴れやかで、私も嬉しい。それでこそやったかいがあったというものだ。
「……あ、もうなくなっちゃった」
「ほら、僕の分あげるよ」
「ううん! わたし、もらってきます! ちはやさまもまめまきしててください」
「あっ! ちょっと! ……豆撒きなんてやりたくないからあげるって言ってんのに」
私が考えていることも千早様にはお見通しかもしれないけど、私だって千早様の考えていること、少しくらいはお見通しだ。千早様の嫌そうな声を無視して、豆を皆に供給している凛さんがいる
一度朱門を出なきゃいけないから遠回りだけど、清められている場だから仕方ないよね。
「りんさぁーん、まめくださ……」
「雅ちゃん!」
「雅!」
朱門を潜った時、フッと暗くなった背後を見ると、黒布を頭から被った誰かが私の腰に手を回そうとしている。そのまま腰に回された手は固くて冷たくて。いつも抱きかかえてくれる皆の手とは全然違う。
奏様の雷が、カミーユ様とコリン様の剣が、地面をひきずる誰かの黒布の
皆が、元老院の人達が、そして神様達が見ている前で、私は何度目になるか分からない人
「雅!」
最後に聞こえたのは、こちらに駆け寄る綾芽の声だった。
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