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 帰ってきてから数日経ち、もうすぐ秋から冬に変わろうとしている夜も更け。


 満月が部屋の中に差し込んでいるおかげでほんのりと明るい。


 そんな夜。



 私はハッと目を覚ました。


 なんだか今日の夢はすごかった。


 昼間おじさん達と見てた任侠映画の影響かもしれない。


 やけに爆発音だけがリアルだった。



 もうひと眠りしようと寝返りを打った時、襖の向こうをバタバタと走る音と、綾芽達の声がした。



「城の連中は何をしてるんだよ!」

「陛下はご無事か!?」

「先に向かった海斗と連絡つかへん。ちょっと自分、行ってきますわ」

「俺も行く! 巳鶴さんは救護班を準備しといてくれ!」

「分かりました!」



 何かお城にあったらしい。


 まだ残る眠気をぐしぐしと目をこすりながら追っ払い、襖をほんの少し開けてみた。



「どーしたのー?」

「あ、雅さん」



 綾芽達とは反対方向に走りだそうとしていた巳鶴さんと目が合った。


 巳鶴さんもまだ白の寝間着のまま。


 よっぽどの緊急事態みたいだ。



 巳鶴さんは私を抱き上げると、大広間に向かった。



「いいですか? ちょっと雅さんの力をお借りしなければいけないようです。お手伝い、してくれますか?」

「おてつだいー? いいよー!!」



 どーんと任せてくださいな。


 胸を握り拳で叩いて見せると、巳鶴さんはニコリと笑ってくれた。


 しかし、すぐに表情を改めると、私にここで待っているように言ってどこかへ行ってしまった。



 そしておよそ三十分後、私は安請け合いしたことを後悔した。


 大広間に入りきらないほどの火傷を負った人達。


 中には運ばれてすぐにむしろをかけられ、外に運ばれていく人の姿もあった。



「雅っ! こっちだ!! 陛下を見つけた!」

「んっ! いまいきましゅ!」



 私はここに、綾芽達を助けるためにいる。


 目を背けている場合ではないんだ!



 海斗さんが呼ぶ方へ、人をかき分け走った。



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