検査
凛は覚醒と同時に身体がフワフワとした感覚がある事に疑問を覚え、目を開けた。
―ナニコレ?
目を開けると、自分が何かの球体の中にいる事を知る。
あ、ルイさんとダンさんがいる。
軽く手を振ってみるとルイナが手を振り返した。
―何なんだろう? コレ。
手を中で動かすが、良くわからない。
ゼリーのような、水の中のような。
苦しくもなく、少し違和感がある程度でフワフワしていて気持ちがいい。
―なんだか少し……眠い……。
凛は再び目を閉じ、眠りについた。
そして再び目を覚ます。
今度はベットの上だった。
一人部屋の個室で窓からは日が夕焼けになる時間になっていた。
部屋には誰もいなかった。
少しだけ寂しい気持ちがこみ上げるが、こんな感じに一人になるのは久しぶりだと思った。
そのうちルイナかダングルが訪れるであろうと思う余裕があるので、大人しく部屋のベットに横になる。
―デイルさんには悪いことをしてしまったわ……。
そんな事を考え、気を失う前の事を思い出す。
凛は初めて自分の意志で自分の中にいる何かを出す事が出来た。
ほぼほぼ偶然のようなモノだが、感覚は掴みかけていた。
目を瞑った。
―アナタは私なの?
帰ってくる答えはなかった。
しばらくしてルイナとダングルが部屋に入っていた。
「あら? リンちゃん目が覚めたのね」
「うん!」
「うむ……」
ルイナの笑顔に比べてダングルの表情が冴えなかった。
「どうしたの? ダンさん。浮かない顔して」
「お主が気を失ってる時に身体の精密検査をした。すまない」
「あぁ……。あれがそうだったのね」
あのフワフワのが検査なのか~。
と、思った凛。
「それで私の身体に異常があったの?」
「いや。身体には異常はなかった」
「……そう。よかった」
心のどこかで身体は健康なのか疑問に思っていたのが、肩から荷が降りるようにすっきりする。
「ただ、ステータスに異常が見られた」
「え? ステータスが?」
「表示されんかったんじゃ」
「それって分からないってこと?」
「うむ」
「そんな……」
自分の力が分かると思ったのに分からなかった。
不安が心を覆う。
「調べる方法は一つではないからな。申請に時間はかかるが、次は問題なかろう」
「分かるの? 私の力の正体が」
「うむ。問題ない」
「ありがとう。ダンさん」
「う、うむ」
少し照れるダングルを見て微笑ましい気持ちになる凛たちだった。
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