和解
凛は自分の心に落ち着きを取り戻しつつあった。
「落ち着いたかい?」
「……うん」
初めてまともにシュリクの顔を見た凛。
この世界に来て初めての同年代の男性を見て、少しそわそわする。
コミュ障の発動だ。
「えっと。いろいろとありがとう」
「……大丈夫? 頭でも打ったかい?」
「なんでそうなるのよ!?」
「あははは。冗談だよ。……それじゃ~僕は行くね。少ししたら君の知り合いがここに来るからそれまでゆっくりしてて大丈夫だよ」
よく理解できない事を言う彼に少し疑問を持った。
「なんでそんな事が分かるの?」
「なんとなくだよ。……じゃーね」
そう言って行ってしまったシュリク。
数分後にダングルがリンの前に現れた。
凛もなんとなくではあるが、ダングルが来るだろう。とは思っていた。
「……」
ダングルは何も言わなかった。
「……」
リンも何を言ったら良いのか分からなかった。
言いたい言葉はたくさんあった。
だが、声が出なかった。
ダングルは凜の隣に少し空間を空けて座った。
「……ルイナがお主を心配していたぞ。ケガをしているというのにお主を探すために部屋を出ようとしてな……大変だったよ」
優しく呟くように話すダングルの言葉を聞いた凛は静かに涙を流した。
「ごめん……。ごめんなさい……」
「……はぁ~。お主は悪くはない。だから、泣くな」
ダングルは困ったような表情をして凛に声をかける。
「……私。……私は」
「問題ない」
「でも!!」
「お主は悪くない」
「でも……」
やってした事は事実である。
凛の心にそこ言葉が浮かぶ。
「……誰もお主を責めはしないよ」
「……」
髭を撫でて話すダングル。
凛は両手で顔を覆っている。
「戻ろう。……ルイナがお主の事を心配に思って来るかもしれん」
「……分かったわ」
凛はゆっくりと立ち上がり、ダングルの後に続く。
ルイナとデイルがいる部屋に向かう途中に凛がダングルに質問をした。
「……ダンさん。なんで私の場所が分かったの?」
「ん? ……すれ違う人達に聞いたのだ」
「……そう」
気が付かなかっただけで、人とすれ違っていたのか。
と、思う凛。
頭が真っ白で周りが見えていなかったのか。
と、自己解決するのだった。
部屋のドアの前に到着すまでの間で会話はこれだけだった。
「どうした? リン」
「……拒絶されたらどうしよう」
「リン……」
ドアの前でダングルにそう伝える凛。
ダングルはドアを開けようとしたが、凛のいる後ろを振り向いた。
「リ―」
ダングルが声を発すると同時に勢い良くドアが開いた。
「そんな事あるはずないじゃい!!」
飛び出すように部屋から出てきたリンは凛を抱きしめ、そう言った。
「……ルナさん」
「リンちゃんは悪くないわ!! 大丈夫よ!!」
「……ありがとう~~~」
二人が泣きながら和解している横で、ドアが勢い良く開いた事で飛ばされたダングルが横になっていた。
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