出会い
ルイナを傷つけてしまった事で凛は動揺し、その場を逃げた。
ダングル、デイル両名の声を無視し逃走は目的も無く、全力の走った。
「はぁー……。はぁー……。はぁー……」
凛に長時間走る体力は無い。
直ぐに体力が無くなり、廊下に座り込む。
「うぅぅぅうう。ルイさん……。何で……私は……」
自分の手の平を見ながらガクガクと震えて、自分がしてた事としようとした事を思い出しす。
「デイルさんを……。私は……。私は……。殺そうとしたんだ……」
自分ではない。
とはいえ、自分が考えた事なのは否定できない現実だった。
凛は誰もいない廊下で一人で泣いた。
彼女の心は様々な不安と恐怖と環境と現実ですでに限界に近かった。
死んだはずの自分が何故、生きているのか。
ここで自分は何をするのか。
自分の中にある不思議な力の謎。
自分の心の力の怖さ。
凛は呼吸が乱れ、過呼吸になってしまった。
苦しさが増し、気が遠くなっていく。
その時、声を掛ける人物が現れた。
声からして男の人。
「……落ち着いて。……息を吐く事を意識して。……そう。……いい子だ」
言われるがままに従う凛。
「大丈夫。……大丈夫だよ」
そう言って頭を撫でられる。
その優しい声と手の暖かさを感じ、呼吸が徐々に安定する。
「大丈夫?」
「……ありがとう。……それじゃ」
凛はフラフラになりながらその場を離れようとした。
気持ちが安定していなく、誰とも話したくないと思っていた。
「……ヒドイ顔色だね。……こっちに来て。……気持ちが落ち着く場所を教えてあげるよ」
そう言って凛の手を握り、移動を開始する。
「何なのよ……アンタ」
「ん? 僕の名前はシュリク」
そう意味じゃないわよ。と、心で呟く凛。
シュリクは凛の態度に少し苦笑いをすると、前を向いて足を進める。
しばらく歩き、彼が口を開いた。
「付いたよ」
そう言って手を放し、先を見えるように少し横にずれた。
「……わぁ~!」
お花の園庭が一面に広がり、赤色の花やピンク色の花。青の花や緑の花など、とても鮮やかなお花が咲き乱れていた。
凛は目を見開き、感動で声が漏れていた。
「あはは。少しは元気になったかな?」
「……フン」
「あはは……」
恥ずかしさと少しイラっとした為にそっけない態度をする凛。
シュリクは先ほどのように苦笑いをするのだった。
「向こうに座る場所があるけど、行く?」
「……行くわ」
「それじゃ案内するね」
彼は園庭の中を進む。
「あそこだよ」
彼が前方を指さした。
ベンチというより、バルコニーのように団欒できるような作りの場所が見える。
凛はそのまま無言のまま座る。
彼も少し離れた場所に座る。
無言の時間が過ぎる。
シュリクはボーっと遠くを眺めている。
「……何でいるのよ」
「いや~。今から教室に向かっても怒られるだけだから、ここでサボろうかな~って思って」
「……どこか行ってよ」
「それは難しいかな」
「どうしてよ!! 私は一人になりたいのよ!!」
八つ当たりだ。
そう思っても怒りは収まらない。
彼に対する怒りじゃない。
自分に対する怒りが収まらないのだ。
「……一緒にいるよ。一人にはできない」
「……勝手にしたら!!」
「ありがとう」
苦笑いをしながら笑顔を向ける。
凛は膝を抱え、うずくまって呟くように彼に言う。
「……バカ」
と。
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