恐怖の裏
凛が気を失って数十分。
「……ほへぇ?」
「リンちゃん!!」
凛が目覚め、ルイナが凛の名を呼び心配そうな表情で顔を覗き込んだ。
「あれ? 私……」
「あらあら。目が覚めたのかしら?」
「きゃ~~~!!」
凛は角が生えた女性を見て、叫んだ。
「お主、面白がっているじゃろう?」
「だって~。怖がってくれる人って珍しいのよ~。あぁぁん~。新鮮~」
「きゃ~~~~!!」
「リンちゃん!! 大丈夫よ!! この人は良い人よ!!……二人とも?」
ルイナが叫ぶ凛を抱きしめ、落ち着かせながら後ろで遊んでいる二人を睨んだ。
「う、うむ。……大丈夫じゃぞ! リン」
「そ、そうよ? 私は襲わないわよ!」
「ううぅぅうううぅぅぅぅ……」
完全に脅えた目でルイナの後ろに隠れる凛。
「もう!! 二人がそんなんだからリンちゃん脅えちゃったじゃない!!」
「「すいませんでした」」
この場で最強はルイナだった。
ルイナは凛に笑顔を見せ、安心するような優し声で話す。
「リンちゃん。この人は悪い人じゃないのよ?」
「ほ、本当?」
「えぇ。あの人は命を助けられた事もあるし、私も病気になった時にはお世話になったわ」
「……う、うん」
「まぁ、急に親しくなる事は難しいかもしれないけど、話してみたら?」
「わ、分かったわ……」
凛は角の生えた女性と目を合わせた。
「わ、私。……花々 凛です」
「私はデイルって名よ。……その、驚かせてごめんなさい。『恐怖の威圧』は解除したから、もう怖くないはずよ?」
「お、お主……」
「デイル……あなたって人は……」
ルイナとダングルは凛が恐怖したのはデイルの姿に脅えたのだと思っていた。
だが、デイルは凛に対して『恐怖の威圧』と言う技を使った。
その効果は本人が思う最大の恐怖を呼び起こされる。と、言うモノで、これは凛にとって最大に効果的な技はない。
凛は恐怖を知ってる。
人が忘れがちになり、楽しい時には完全に無くなる『死』と言う恐怖を。
凛から見たデイルは死神のような、死そのものを見ているような状態に陥ていた。
「リンちゃん。少し、外に出ててもらえるかしら?」
「え? う、うん」
「リンよ。すぐに済むと思う」
「え? 分かった」
「えぇ!? お、落ち着こうか、二人とも」
凛は二人に言われるが、ままに部屋の外に出た。
数十分後にルイナが顔を見せ、入った部屋ではデイルが土下座をしていた。
「も、申し訳ない……。ほ、本当に……。うぅうぅぅぅ……」
「え!? ええぇ!?」
泣きながら謝って来た。
「リンちゃん」
「ルナさん?」
ガバッと凛を抱きしめ、頭を撫でるルイナ。
その後ろでダングルも申し訳なさそうな表情を浮かべていた。
「すまない。デイルが悪戯でお主に精神的に恐怖にかられる技を使った」
「えぇ!?」
「ゴメンね……。リンちゃん」
「ど、どうして二人も謝るの?」
「「こういう性格だと知ってたのに……」」
冗談では済まない事もある。
凛の中で再び何かが弾けた。
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