検査

 凛、ダングル、ルイナは城に到着した。

 ダングルの賢明な方向修正の賜物で昼には城に到着する事が出来、ダングルは既に疲れ切っている。


「すいません。身分証の提示をお願いします」

「うむ」


 ダングルが警備の人に懐にあるカードを出した。


「どうぞ」

「うむ」


 凛は何も分からないまま、ダングルの後を追う。


 凛の緊張を解そうと、ルイナはそっと手を握った。


 凛はルイナの行動の意味と思いを理解し、笑顔で礼をするのであった。


 城に入るととても広いロビーが広がっており、正面に受付があった。


「ご用件は何でしょうか?」

「精密検査とステータス検査。あと、住民届を出してもらいたい」

「分かりました。では、あちらにお進みください」

「うむ」


 凛は日本にいた頃の病院の受付を思い出し、似ているな~。と少し笑っていた。


 凜一行は正面玄関を入って右に通された。


「思ってたより城の中って普通なのね。なんか身構えて損したわ」

「フフフ。そんなものよ」

「貴族玄関はすごいぞ。キラキラしていて目が痛くなるほどだ」

「なにそれ!! 面白そう!! 行きたい!!」

「今度な」

「約束よ!!」

「うむ」

「破ったら何か買ってもらうからね!!」

「うぐぅ……。ま、まぁいいじゃろう」

「フフフフ」


 城の中は石で出来てはいたが、日本の建築を見ていた凛にとっては思っていたよりも普通という印象だが、所々に洋と和が入り乱れているのを華麗にスルーのだった。


「ここが精密検査室じゃ」


 ダングルが一つの部屋の前で止まり、入るように凜に促す。


 ノックして入る凜。


「し、失礼します……」


 徐々に声が小さくなる凛。


「いらっしゃ~い!!」

「ふぇ!?」


 そこにはグラマーで褐色で、ギリギリ見えないスカートと胸元のドレスを着た、角の生えた女性が元気に挨拶をしてきた。


「……」


 完全に脳のキャパを超えた凛は停止した。


「リン?」

「リンちゃん?」


 凛を心配するダングルとルイナ。


「つ……」

「「「つ?」」」

「角が……ある……」

「まぁ、魔族じゃからな。角はあるぞ?」

「……プシュ~」

「リン!?」


 リンは目の前の現実でパニックを起こし、気を失った。


「あらら~。その子、気を失っちゃったね」

「すまない。気を悪くしないでくれ」

「いやいや! こういう反応は私も初めてで新鮮だわ」

「……そう言ってもらえると助かる」


 ダングルはリンを部屋の中にあるベットに運び、寝かせた。


「……祠にいたって人物がこの子?」

「あぁ」


 ルイナはリンの手を握り、心配そうにリンの元に駆け寄り、二人の会話を全く聞いていない。

 二人は凛とルイナとの距離をとり、小声で話を続ける。


「……予言は当たったって事かしら?」

「まだ分からん」

「……いずれ分かるわよね」

「あぁ。破壊者なるか救世主となるかはあの子次第じゃ」

「いい子そうだからきっと救世主ね」

「はぁ~。お主……」


 二人は気さくに笑いあうのであった。


 

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