ダングル
「リン。着いたぞ」
「……え?」
ダングルとの最初の出来事を考えていたらいつの間にかダングルの目的の場所についたようだ。
「ここからは自分で歩け」
「う、うん」
そう言って軽々と凛を下ろした。
ダングルが連れて来た場所は少し大きな家だった。
「リン。行くぞ」
「え?ここ誰の家なの?」
そう言って家に入る二人。
「ん?言ってなかったかのう?」
「言ってないわよ!」
ダングルは髭を撫で、凛はダングルの後ろで吠えた。
「あらあら~。どちら様?」
奥から女の人が来た。
「あら。お帰りなさい。アナタ」
「うむ。今、帰った」
そう言ってダングルは鎧を脱ぎ始めた。
「え?……えぇ~~!?」
凛の声が木霊する。
「うるさいぞ、凛」
「え……。ダ、ダンさんの奥さん?」
「そうだ」
「えぇ……。じゃ~ここってダンさんの家なの?」
「そうだ」
「アナタ、この子……」
――ガシャガシャ~!!
っと、手から鎧を全て落としたダングルの奥さんは凛にゆっくりと近づく。
「あぁ……。そんな……。こんな事って……」
「えぇ……」
凛の顔を見てダングルの奥さんが涙を流す。
「ルイナ……」
ダングルが奥さんの名前を口にし、後ろから両肩に手を添える。
「アナタ……」
ダングルの胸の中で泣くダングル奥さんのルイナ。
凛はとても気まずい雰囲気にこの場を逃げ出したいと思うが、いつの間にかルイナが凛の服を握っていて逃げるに逃げられなかった。
「リン。事情を話すにはこの場でないとダメだと判断した。向こうで話そう」
「う、うん」
ダングルはルイナに手を貸して移動する。
そしてリビングに通され、四角い机の椅子に座るように促される。
ダングルとルイナは凛と反対側に座る。
「まず最初に自己紹介じゃな。リンよ。ワシの妻のルイナじゃ」
「よ、よろしくお願いします」
「ルイナよ。リンじゃ」
「よろしくね。リンちゃん」
ルイナは凛をとても懐かしいモノを見る表情をし、少し悲しいそうな目をしていた。
「本当に守るのか。という問いに対してワシは自分の過去をお主に伝えるのが一番だと思ったんじゃ」
「過去を?」
「うむ。じゃが、決して楽しい話ではない。聞きたくないと思ったら耳を塞ぐと良い」
「うん」
真剣な表情のダングル。
その隣にいるルイナはダングルの言葉を聞いて少し下を向いた。
「まず、リンよ。お主はワシらの孫にそっくりなんじゃ」
「……」
凛は黙り聞く。
「……驚かないんじゃな」
「何となくだけど、予感はしていたわ……」
「……そうか」
ダングルはそう呟くと、少し俯き影を濃くした。
「気が付いていると思うが、孫はもうこの世にいない」
「……」
手首を無意識に握る凛。
「元気な子じゃった。いつも笑顔でな。太陽のように笑うその表情は今でもはっきりと覚えておるよ……」
「うぅ……。ぅうぅぅ……」
ダングルが話す中、隣のルイナが涙を流し声が出ないように口を押えながら話を聞いていた。
「孫の名前は……セティーニャ、と言う」
「……初めて私を見た時に言った名前ね?」
「そうじゃ……。思わず口走ってしまい、剣を落としてしばらく動けんかった……」
しばらく沈黙が続く。
「アナタ、無理は……」
「大丈夫じゃ。……心配をかける」
「いえ……」
「決心がついた」
覚悟を決めたダングルは言う。
「セティーニャが死んだのは今から二年前のある事件が原因なんじゃ……」
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