予定変更
凛はダングルに肩で担がれているが、凛のお腹が痛くなる事は無かった。
これはダングルが痛くないように凛の身体を支え、なるべく振動も少なく歩いているからだった。
凛は大勢の人込みで肩に担がれるのが恥ずかしいのでバタバタと暴れるが、ダングルの力に叶わず体力が尽きた。
そして、ダングルの肩の上で周りをキョロキョロと見てはキラキラした目をする。
「フフ。どうじゃ?帝都は」
「素敵ね!!肩に担がれてなければもっと最高よ!」
「逃げよとしたお主が悪い。観光なら一通り終わってからで良いじゃろうに……」
「良いじゃない~!!ダンさんは少しマジメ過ぎるわよ?」
「うぐぅ……」
「あははは!!」
凛が冗談で『マジメ過ぎる』と言ったが、どうやら散々言われた言葉だったようで、ダンさんは嫌な顔と声が漏れた。
凛はまさかこんな反応があるとは思っていなかったので、楽しそうに笑うのであった。
「……ダンさん。ちょっと聞いて?」
凛の笑顔が急になくなり、少し悲しそうで脅えた表情になる。
「なんじゃ?」
ダングルはその変化に気が付いたが、いつも通りの受け答えをする。
「……お城に行くのが正直に言うと怖いのよ。知らない人がたくさんいる場所が」
「……」
凛の言葉を聞いて何も喋らないダングル。
ダングルは凛の身体が少し震えてるのに気が付いた。
「アナタは言ったわ。『お主がワシがこの命を懸けて守る』って」
「あぁ……」
ダングルの表情に変化は見られない。
「……本当に守ってくれるの?」
「……」
ダングルの顔を見る凛。
今にも泣き出しそうなその顔に凛の不安の表情が漏れていた。
ダングルは凛と目を合わせず、まっすぐ前を見ている。
「……」
ダングルは足を止めた。
「……ダンさん?」
「予定変更じゃな……」
凛はまた敵が来たのかと思い、辺りをキョロキョロ見る。
「こんな人が多い場所で襲撃はないじゃろう」
「……じゃ~予定変更って?」
「行けば分かる」
「??」
凛は良く分からないまま、ダンの肩に担がれ移動する。
二人は何も喋らない。
凛はチラチラとダングルの顔を伺うが、ダングルは何も反応せずにただ進む。
肩に担がれながら凛はダングルの真意を考える。
そして思い出す。
ダングルと初めて会った時の出来事を。
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