後、十五分

 凛は教会の一室で休んでいた。


 部屋には誰も居らず、凛は机で日記を書いている。


『私、花々凛は異世界に転生したようです。

 この世界を全て見てませんが、この世界は地球ではないと感じています。


 私は日本で死にました。

 その事は深く考えないようにしているけど、確かに死にました。


 日本で私の人生は終焉を迎え、この世界で新たな人生が始まった。

 ……のだと思います。


 訳が分からない。ってのが私の感情です。


 何で?がゲシュタルト崩壊を起こしそうになるよ。

 ゲシュタルト崩壊を思い出すだけで数十分もかかったよ。まったく!


 いろいろあるけど、一番驚いた事は私が健康だったこと。

 歩いたり走ったりジャンプしたりしたけど身体が悲鳴を上げる事はありませんでした。


 後、髪がかなり長く腰ぐらいまであります。


 これは地味に嬉しいです。


 とりあえず、今は分からない事ばかりだけど頑張ります』


 凛は日記を書き終えるとベットでスヤスヤと寝るのであった。


――――――


「お~い。起きとるか、リン」

「……後、十五分」

「……入るぞ」


 ダングルは昨日と同じ鎧を着ているが、気持ち鎧がキレイになっていた。


 ダングルは凛が寝る部屋に入ると問答無用に窓を開いた。


「ダンさん~。眩しい~」

「起きんか、リン」


 毛布を頭まで被り抵抗する凛だが、ダングルには無意味で簡単に剥がされた。


「むぅ~~」


 もう少し寝ていたい凛はダングルを睨む。


「はぁ~。飯じゃ、リン」

「すぐ行くわ!!」


 睨みが笑顔に変わる瞬間だ。


 ダングルはため息しか出ない。


――――――


 凛の休んでいた部屋で朝ごはんを食べる二人。


「それでこれからどうするの?」

「とりあえず城に向かう」

「城!?」


 ダングルが普通の人は思っていなかった凛だが、城に住むほどの人とは思っていなかった。


「そうだ。とりあえず城の魔術師に会ってお主のスタータスを見んといかん」

「ステータスって?」

「簡単に言えばその者の強さじゃよ」

「あ~なるほど」


 そう言えばそのような感じの漫画を読んだな~。と、思う凛。


「お主はこの世界を知らんからその後は勉強じゃな」

「分かったわ!」


 この世界の事を知る事が出来るとテンションが上がる凛。


「まぁ先は長そうじゃな」


 机の上に置きっぱな凛の日記を見てダングルは呟く。


「それは日本語よ?ダンさんは読めないでしょ?」

「おぉ~。リンの世界の文字か。フムフム」


 マジマジと見るダングル。


 読めないとは言え、見られると恥ずかしいという事に気が付いた凛は止めようと思い、手を伸ばす。


「ほら」

「あ、ありがとう」

「まったく読めんな。だが、中々良い文字だ」

「そう?」


 なんとなく嬉しい気持ちになる凛であった。

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