第5話
朝である。
振り当てられた家事も一段落し、しばらくまったりできる。
ここで、朝の仕事を思い出し、反省をしてみる。
今朝は七時に起きた。八時起きが習慣化しつつある私にはまずまずの成果だ。
朝食を食べ終えて、必ずすることは服薬。
私の障害には、特に統合失調症においては、薬は毎朝欠かせない。飲まなければ、またいつ精神が崩れるかわからない。面倒くさいけれど、もはや体に染み込んで習慣化されつつある。よしよし。
朝食の後片付けをする。洗剤をスポンジにつけて皿を洗う。水で流し、布巾で水気を拭き取る。よく、水気が取れていないと母に怒られる。母に怒られる度、やってるもんと心の中で言い訳する。
皿を元あった場所に戻すのも苦手だ。
普段使っている食器はまだいい。時々使う皿は置場所を間違えてしまう。
掃除機をかける。隅々まで掃除するんだよと母。よく「まるくかけないこと」と注意を受けるが、まるで自覚を持てない。
猫の水を取りかえ、植物に水をやる。
本日も何とか朝の仕事を終えることができた。
やるべきことをした後で、また別の予定があった。本日の特別メニューだ。
お世話になっている相談室に電話する。
「雇用保険の知らせがきたんですけれど」
昨年までA型就労継続支援施設に通所していた。A型の施設では雇用契約を結んでいたので、雇用保険が適用されるのだろう。
ただし、新たな会社で給料を受け取ると雇用保険は受け取れなくなる。
「生活訓練の施設で工賃が発生するのですが、雇用保険は受け取れるのでしょうか」
工賃とは最低賃金よりも低いおこづかいみたいなお金のこと。
生活訓練という施設の、工賃の発生する所へ通う予定がある。雇用保険を受け取れるか心配であった。
「多分大丈夫。明日、ハローワークに行くので、きて頂ければ対応できますよ」
相談員に宜しくお願いしますと答え、電話を切る。
カレンダーとスケジュール帳を見る。生活訓練に行く日と病院に行く日が重なっていた。時間も重なっている。予定をスケジュール帳かカレンダーか、どちらかにしか書いてないからこうなる。
「予約の日を変更できますか」
と、病院へ電話。
「ん? 予約の日は、その日ではなく明日ですよ」
失敗だ。ぐるぐるとお腹の中で暗い何かが回る気がした。
日にちが一つずれたまま、スケジュール帳に予定を書き込んでいたのだ。
「すみません、時間を変更できますか」
こうして、病院とハローワークが重ならずにすんだ。
今日の反省はスケジュール帳とカレンダーの両方に予定を書かなかったこと、書くときによく確認して間違えないようにしなかったことである。
面倒くさがりは本当にダメだ。
午前中は苦い気持ちのまま過ぎていく。
油断禁物だとこれまて以上に、自分に言い聞かせよう。
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