第5話 不思議なカルシウムを摂れ!!マーマ・ハーハ怒りの一撃
トーナメントの組み合わせはシャーマンがバーベキューの焦げ方を見て占います。
「シャァァァァァァッッッ」
シャーマンが占っている間にトーナメントの主題歌をみんなで歌いましょう。
「浜の二人」
作詞:モスラ
作曲:バトラ
味は濃い目であとは普通の私達
縦に長い港は磁場が多いから
干潟の似合う女になれ
栃木も茨城もわからないけど
千葉は知ってる
いつかはあの島に行きたい
今はまだサナギだけど
きっとでかい餃子になる日が
くるって信じてるから
たとえ闇が暦(とき)を別ち
天は落ち地は裂けようとも
己の果てない欲望(ゆめ)の果てに
混沌と破滅を招くならば
それって最高のDIYじゃん
歌っている間にトーナメントの組み合わせが決まりました。
第一試合
マーマ・ハーハ
リンデレラ
第二試合
ラン・マール
OICHI
第三試合
アレックス
ジ・イサン
第四試合
キンタウロス
クマー
私はいきなり謎の復讐者と戦うはめになりました。彼女からは非常に邪悪な気のようなものを感じますが、一体何者なのでしょうか。やっぱり知らない人と戦うのは不安なもので、バーベキューも喉を通りません。
不安になったので、時間が来るまでリスでも見て心を落ち着けようと思い、お城に併設されたリス園に向かいました。
だがそれがいけなかったのです。リス園の前には問題の復讐者マーマ・ハーハがいました。
「会いたかったぞ、リンデレラ」
なんかやばくないですか。
「あなたは私の事を知ってるのですか」
「あぁよく知ってるよ、その生意気な顔も、得意料理の味噌カツも、そしてデレラ拳もな」
突如としてマーマ・ハーハは攻めて来ます。そのバトルスタイルは180センチはありそうな巨体から繰り出されるパワフルな打撃です。
もし、デレラ状態ならまともに戦えそうですが、デレラ状態は後のために温存しておきたいのです。
「オラッどうしたんだい、避けてばかりじゃ
バトルになんねぇよ」
マーマ・ハーハの言う通り、これでは反撃できません。
「一体どうしてこんなことをするんです」
「これはお前への復讐なんだよ」
「私、見に覚えのない復讐をされるつもりなんてありません」
「この私を覚えてないと言うのかい」
「私はこのトーナメントに来るまでに沢山の人達と戦って来ました。いまさら一人一人覚えてなんていられません」
「ふざけんじゃないよ」
この得体の知れない敵のすさまじい怒りの闘気に圧倒されて反撃出来ないまま、ついに崖の端まで追い詰められてしまいました。
「これで終わりだなあ、最後に私の顔を目に焼き付けて死ぬといい」
仮面を取るとその顔はただの継母でした。
「なんだ継母か」
「何だってなんッッッッ」
継母が言い終わる前に、無駄な不安を煽られた私の怒りの一撃を叩き込み、継母は反対の崖から転がり落ちていきました。
「ああああぁぁぁぁ」
これは事故です。
しばらくリスと戯れて気持ちを落ち着けてから控え室に戻る途中、クマーさんと会いました。
「どこ行ってたんだお前」
「リス園ですけど」
「わかってるじゃねぇか。試合前に動物とふれ合って気持ちを落ち着けるのは玄人の間じゃ基本だからな」
とかなんとか一人で喋りながらリス園の方に行きました。
控え室に入ると、前回優勝者のラン・マール氏が特大のおはぎとダイエットコーラを飲んでいました。
試合前にこんなに食べるなんて無謀だと思います。
「へぇ、ダイエットコーラですか」
なぜか感心していたのはバトル評論家のジ・イサンでした。
「ダイエットコーラはカロリーを気にせず安心して飲めるとか。それに特大おはぎは美味しそうですな。ひとつくださいな」
とか言って勝手に取って食べました。
「なんだぁてめぇ」
一触即発です。
「おりゃあああああ」
「キヤァァッッ」
ジ・イサンの手刀とラン・マール氏の蹴りが綺麗に決まり、体格差でジ・イサンが控え室の壁を突き破ってぶっ飛ばされました。さすがにチャンピオンの力はすごいです。ですがチャンピオンも倒れてしまいました。
「やっと倒れましたか」
安堵した顔でOICHI様が一言漏らしました。おそらくコーラかおはぎに毒でも盛ったのでしょう。その一言を普通に強い拳闘士のアレックスは聞き逃しませんでした。普通に強いだけのことはあります。
「こんな卑怯な手は許さねぇぜ。俺が成敗してやる」
「あら、私のプリンセス毒手拳に勝つ自信があるのですか」
さて、この二人の戦いになると思ったのですが
「オマエ邪魔。コイツ俺ノ獲物。俺ハ半牛」
とか言って半人半牛のキンタウロスが背後からOICHI様に高速回転するフラワーアレンジメントをぶつけて攻撃しました。。OICHI様は頭を打って気絶している様でした。
OICHI様を安全な場所にどけていると普通に強い拳闘士のアレックスに
「なあそこのお嬢さん、実は俺とこのキンタウロスはちょっと拳闘士として因縁があってね。お互い九十九戦九十九引き分けで終ってるんだ。それでお嬢さんには記念すべき一勝目の証人として見届けてもらいたいんだ」
と普通に持ち掛けられましたので。
「あっいいですよ」
と普通に了承しましたが。案の定勝負は引き分けに終わり、アレックスは天井に突き刺さって気絶、キンタウロスはフラワーアレンジメントが絡まりながら逆さに壁に貼り付けになっていました。
なんと大惨事な事でしょう。控え室には五人の闘士が転がっていました。そこに帰って来たのがクマーさんでした。
「なんだと…………お前一人で張り切りやがって。それも私が戦う分まで」
「いや、それは私じゃなくて」
「隠さなくたっていいぜ。お前から溢れ出るその殺意は隠しきれるもんじゃない」
「そうじゃなくて、なんていうか…………そう、これは事故です」
事故なのです。
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