軍隊時代7

あれから五年の間私達はいろいろなことをした。例えばとても怒られること。

「あの人いつも俺に無理難題押し付けてくる んだよな」

「じゃあちょっとだけ悪戯しちゃおっか!」

「えっ、でも雪さん怒られるよ」

「いいの、いいの昔からよくやってるから」

私は風の能力を使い中佐のかつらを浮かせた。すると

「雪少佐何をやっとるんだ」

と言って追いかけ回された。あの時の中佐の説教は今でも忘れられないぐらい長かったな。あっ、そう言えばこんなこともあったな。

「おじさんこれ下さい」

「お前みたいなガキには売ってやらん」

「おじさんここの店にある食料全て頂戴」

「またかこのくそガっ雪さん!!!大変失礼 いたしました。すぐ用意します」

私と楓はこの後貧しい子供達にたくさん配ったな。子供達にたくさんありがとうって言われたの今でも思い出すと心がホッコリするんだよね。でもやっぱり一番忘れられないのは朔夜兄さんの夢を見た日の朝誰にも見られない場所にいて泣いていたのに楓だけがすぐに見つけだして慰めてくれたことかな。

「雪さんもう泣かないできっと朔夜さんもあ なたがそんなに泣いていたら心配するよ」

「なぁ、楓・・・私が全て悪いんだよね」

「雪は悪くないよ!!!」

あの時楓は初めて私を呼び捨てで呼んでくれたんだよね。そしてその時言われた言葉はいつも悲しい時に思い出してるんだ。

「俺は雪をおいて死んだりなんかしない!例 え今は朔夜さんのかわりでもいつか絶対俺 がいいって言わせてみせるから覚悟してよ ね。もう雪は一人じゃないんだよ」

私はきっとその言葉をずっと待ってた。だから涙が止まらなくなる程嬉しかったんだ。楓とはこれからもずっと家族でいたいな。

俺は雪と出会ってからたくさんのことがあった。雪はかっこいいけどおっちょこちょいだからよく何も無いところで躓いてたよね。俺が雪のことを好きになったのは唯一の家族であった朔夜兄さんを失った後だった。家にいきなり軍人が訪ねて来て

「お前の兄は雪の爆発に巻き込まれて死ん  だ。これは遺品だ。それでは失礼する」

と言った。俺は朔夜兄さんの手紙で雪のことを知ってはいた。だから朔夜兄さんが雪の爆発に巻き込まれて死んだということは一生懸命何かを伝えようまたは守ろうとした結果だったと俺は思った。だから俺も朔夜兄さんが守った雪を最後まで守りたいと思ったんだ。だがやはり俺は一人に耐えられなくなり壊れてしまった。その時は何をしても辛かった。しかしある日龍さんが会いに来て雪に会わせてくれた。そして雪は俺のことを家族だと言ってくれた。今でもとても嬉しかったことを覚えてる。

「だから俺が雪を守るんだ。そしていつかは 朔夜兄さんじゃなくて俺を見て欲しいな」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る