軍隊時代5

「ほら連れて来たぞ雪」

龍さんは言ったとおり五分ぐらいで帰ってきた。そして龍さんの後ろには私より幼い感じの男の子がいた。

「その子がさっき言ってた子?」

「あぁ、そうだ」

男の子は龍さんの後ろから少し顔を出しこちらを伺った。

「初めまして。私の名前は雪だよ。よろしく ね」

男の子は私が名乗ると嬉しそうに龍さんの後ろから出てきてキラキラした目でこちらを見ながら自己紹介をしてくれた。

「初めまして雪さん!俺、楓って言います。 年齢は雪さんより三つ下の一三歳です」

「楓に会えて嬉しいよ」

「こちらこそお会いできて光栄です」

楓はとても丁寧な口調で話してくれたがあまり慣れないので

「楓、もっと砕けた話し方で話してくれない か?」

と言った。

「いいんですか?」

「あぁ、構わないよ。そっちの方が私も話し やすいし」

楓が少し迷った素振りを見せたので龍さんが遠慮しないように茶化してくれた。

「そうだぞ雪は堅苦しい話し方苦手なんだ。

 馬鹿だから」

「うるさいよ龍さん」

そして楓は戸惑いながらも少し砕けた話し方で

「ありがとう雪さん!じゃあお言葉に甘えて 普通に話すね」

と言ってくれた。そして私はたくさん楓と話した。私が楓と話していたのはきっと話している間だけは朔夜兄さんを失った悲しさが薄れていくような気がしたからだ。それから私はふと思ったことを口にしてみた。

「龍さん楓って今行く宛ないんだよね」

「あぁ、今は一時的にハイツで暮らさせてい るんだがが一人で暮らしてるんだよな」

「じゃあ、私が楓を引き取って一緒に暮らし ても問題無いよね?」

「楓が嫌がらなかったらいいぞ」

「楓、私と一緒に暮らさないか?」

「いいの?俺邪魔じゃない?」 

「もちろんだ。楓は今日から私の家族なんだ からな!」

俺はこの時雪さんの言葉でとても救われた。何故ならどこに行っても誰を頼っても皆俺を邪魔者扱いし煙たがったからだ。そして俺は少しでも雪さんの役に立ちたいと思い、こう言った。

「俺、軍隊入るよ。雪さん、龍さん」

「別に入らなくても私が何とかするよ」

「俺も雪さんと一緒に戦ってあなたを支えた いんだ。だからお願いだよ雪さん」

雪さんは少し迷った素振りを見せたがやがてこう言った。

「ありがとう楓・・・。龍さん上への説明は 任せたよ」

「分かった。上には上手いこと説明しといて やる」

ここから私達の奇妙でとても楽しい生活が始まった。









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