軍隊時代4
私が次に目覚めたのは真っ白な部屋の真っ白なベットの上だった。
「誰かいませんか?」
声をかけたが誰もいなかったので私は一人で声を殺して泣いた。
「朔夜兄さん、私・・・あなたがいない世界
で何を生きる意味にすればいいのかな?」
私はたくさん泣いた朔夜兄さんとの思い出を全て涙に溶かして流すように・・・。
「おい、雪大丈夫か?」
聞き慣れた声が聞こえたので私は起き上がった。
「龍さん何でいるの?」
しばらく考え私はおそらくあの後泣き疲れて眠ってしまったのだろうと思った。そして状況を理解できたことに私は少しホッとした。
「お前いい加減にしろよ!!急に無線が途切 れたと思ったらお前がいた辺りでとんでも ない爆発がおこるし・・・。何かに巻き込 まれたんじゃないかって探し回ったらお前 はぶっ倒れてるし・・・。三週間もずっと 目を覚まさないから本当に心配したんだ ぞ」
だがホッとしたのも束の間私は龍さんにとんでもなく怒られてしまった。
「ほ、本当にごめんなさい」
「今度こんなことしたら三日間飯抜きだから な」
「龍さんそれは困るよ」
私は苦笑しながらそう答えた。
「あっ、後お前にこれ返しとくな」
龍さんは私の掌にブレスレットを置いた。
「龍さん、私が付けてるピアスとストーンち がいのやつ落ちてなかった?」
「お前は自分を火から守るためにずっと水の 壁をはってたんだ」
「まさか私石の力全て使い切っちゃった?」
「あぁ、粉々になってたよ。しかしお前火の 能力者なのによく水の能力なんて使えた な」
「多分朔夜兄さんのだからだよ」
私がそう言うと病室は静寂に包まれた。だがすぐに龍さんが沈黙を破り
「お前があの辺り一面燃やし尽くした時にな 敵のしかも一番中心の軍があそこにいてお 前が暴走しておこした爆発に巻き込まれた らしい。そしてほぼ全滅したんだとよ」
と言った。
「えっ、う、嘘でしょ?」
「本当だ。だからお前は今隣の国との戦争を 終わらせたヒーローってことになってるん だ」
「無理だよ。私、ヒーローなんて柄じゃな い」
「お前は国民の希望を握り潰すのか?国民は 何も関係ないのに国のお偉いさん方のせい でいつの間にか恐怖の日々に巻き込まれた んだ」
私は龍さんにそう言われてうつむいた。
「お前は朔夜を失った。だが国民の中には家 族、恋人、友人全てを失った人だっている んだ。そいつらは今、お前を見て少しず つ悲しみを抱えながらも必死に希望を抱き 強く生きてるんだよ」
「分からない、分からないよ。だって私はそ の人達と話したことも会ったこともないん だよ」
私がそう言うと龍さん急に立ち上がり
「じゃあ、俺の知り合いにそういう奴がい るから連れてきてやる」
と言って病室を走って出て行った。
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