軍隊時代2
私はいつもの軍服に袖をとおした。
「なんかこの服着るとシャキッとするな」
そう独り言のように呟き、赤い石のピアスを耳に付けた。すると体から力が溢れてきた。そして私は今日こそ朔夜兄さんにプレゼントを渡すぞと決意し、ポケットにピアスが入った箱を押し込んだ。
「そろそろ朔夜兄さんも着替え終わってるだ
ろうし部屋へ行こうかな。今日も国のため
に仕方なく働いてあげるとしましょうか」
私は扉の鍵を閉め部屋を出た。
コンコンと扉をたたく音がして雪の声が聞こえてきた。
「朔夜兄さんもう着替え終わってる?」
「あぁ、すぐ出るから少し待ってくれ」
「うん、分かった」
俺は今日、雪にあげるために特注で作ったブレスレットを持ち部屋の外に出た。
「待たせて悪かったな」
「全然いいよ。こっちこそ早く来すぎちゃっ
てごめんね」
雪が申し訳なさそうに顔をうつむかせたので俺は慌てて
「す、少し目を閉じて手をかしてくれない
か?」
と言った。雪は一瞬困惑した顔で俺を見つめたがすぐに言うとおりに目を閉じてくれた。そして俺は折れそうなぐらい細く真っ白だが軍人らしいたくさん傷跡のある雪の手首を壊れ物を扱うようにそーっと触りブレスレットをつけた。
「ねぇ、兄さんもう目を開けてもいい?」
「あぁ、いいぞ」
そして雪は手首を見てとても嬉しそうに俺の方を向いた。
「これは雪の火の能力をあげる火のパワース
トーン使って作ってもらったんだ。雪が付 けてるそのピアスよりは弱いがこれもかな り強いパワーストーンなんだぞ」
「しかもこれ兄さんが普段から付けてるブレ
スレットのストーンちがいだよね」
「俺とお揃いだな」
「ふふっ、嬉しいな兄さんありがとう。あの ね、実は私も兄さんに私が付けてるピアス のストーンちがいを渡そうと思ってたんだ よね」
私がそう言うと朔夜兄さんは少し驚いた顔をしてその後照れくさそうに
「雪、俺にそのピアス付けてくれないか?」
と言った
「うん、いいよ。少ししゃがんでくれるかな
兄さん」
私は朔夜兄さんに少ししゃがんでもらいピアスを付けた。
「やっぱりこれだいぶ強いパワーストーンだ な。力が体中にみなぎってくる。雪、あり がとな」
「兄さんが喜んでくれて私も嬉しいな」
「それじゃあもうそろそろ出撃時間だから解 散な。絶対またここで会おう」
「うん、それじゃあまたね」
こうして私達は各部隊に別れて戦地へと出撃した。
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