HERO

桜吹雪

軍隊時代1

「あっ雪さんだ」

「私達を救ってくれてありがとう雪さん」

いつから私はこんなに国の人に感謝されるような存在になったんだろう・・・。

私の家はとても貧乏だった。なので両親は能力の強い私を国へと売った。でも私はもう両親のことを恨んでなどいない、どちらかといえば感謝しているくらいだ。だって家にいたときよりもきちんとしたご飯がでるし、勉強もさせてもらえるんだもん。そしてなにより心から愛せるあの人に出会えたから私はもう恨んでいない。

「雪、急に人の部屋入ってきてぼーっとする

 なよ」

「あっ、ごめん」

「で、どうしたんだ?」

「隣の国と争ってる場所へ行って負傷した兵

 士を助けて敵軍を全滅させてこいってさ」

「また出撃かよ。で、部隊編成は?」

「私はS部隊の特殊攻撃部隊、朔夜兄さんが

 K部隊の救助隊だよ」

私がそう言うと朔夜兄さんは少し驚いた顔をした。

「珍しく雪と違う部隊なんだな」

「今回だけはどうしてもこの部隊でやりたい

 んだって龍さんに頼まれたんだよ」

「へぇー」

「そのかわりこの仕事終わったら外出許可と

 三日間の休みをくれるんだって」

「やった!!街でたくさん遊ぼうな雪」

「うん!それじゃあ兄さんすぐ出撃だから私

 一回部屋に戻って着替えてくるね。兄さん

 もはやく着替えなよ」

私はそう言って部屋を出た。

バタンと扉を閉めて雪は自分の部屋へと戻って行った。

「雪って俺のことどう思ってるんだろ」

俺はそう言っておそらく真っ赤になっているであろう顔を手でおおいうつむいた。

「雪が俺のこと好きになってくれるのを待つ

 んじゃなくてちゃんと俺の気持ちを伝えた

 いな・・・。あぁ俺の弱虫」

私は朔夜兄さんの部屋を出た後走って自分の部屋へ戻った。そして部屋に入り扉の前で頭を抱えて座りこんだ。

「もう、兄さんいちいち顔近すぎだよ。私の

 心の中は朔夜兄さんへの愛で溢れてるのに

 どうして兄さんを前にすると好きの二文字

 でさえも言葉にできないんだろう・・・」

私は頭をさらにギュッと抱えた。

「あーあもう情けないな私、兄さんはきっと

 私のことなんて妹としか思ってない。だか

 ら辛い恋になるのも分かってたなのにだん

 だん欲張りになっちゃう・・・。勇気出せ よ私」


 




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