完璧なピエロ

さぁさぁ、皆さん、お手を拝借。まずは自己紹介でも致しましょう。

僕は独りの人間であり、ピエロですよ、お客さん。

貴方様の様なお客さんには空中ブランコショーより火の輪くぐりよりも僕のお話を聞いて頂きたいッその一心でございます~。

そうでしょう、そうでしょう?ほんの少し、そう、道端にいる猫に惹かれる感覚でございます。


ではでは、お話しましょうか。昔~昔。一人の少年はとてもとても、泣き虫でした。何かを言われては傷付き、握り潰した紙の様な顔で大粒の涙を流し泣くのです。

それはそれは、罪悪感を湧かせるカオをしていました。

少年にはまだ、幼い弟と自分とは似ても似つかない顔の妹が居ました。

それはそれは優しく、正義感の強かった少年は駄目な事は駄目だ、と少々厳しく扱って居ました。

そんなある日。掃除をしていた少年の頭に部屋にあったはずの椅子が落ちてきました。

部屋のタイルに彼岸花が咲いたのです。そう、真っ赤な。


真っ赤な少年を前に親はこう言ったのです。


『駄目人間なお前に金を出すのが惜しい』


と。その時、確信したのです。少年が愛されて無かったのも、兄妹達から貶されていたのも、全部、少年が駄目人間だったから、その人達にとって都合の良い人では無かったから、少年は判子を押されたのです。


その日から少年は泣かなくなりました。常に笑顔を振りまき、笑顔で人と接し、誰に何をされても文句を言わないのです。



ただ一つ。

紙を1枚貼り付けただけですがね。




そしてそして……長い年月が経った事でしょう。思い起こして見れば、原因は自分だ、自分が悪いッ。そう思った少年もこんなに成長をし、になったのです。


物語も終わりです。さぁ、どうです?

なかなかのものでしょう?自分の必要性を感じなくなれば……貴方様でも僕のようになれます。

では、お帰りの際は車にお気をつけを。

朧気な物語は語り継いでいくものでは無い。

ただ、聞いてくださった皆様がどんな想いを抱くのか、それだけが僕の楽しみでもありますがね。





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解らない事ありますか? 夕霧 夜薙 @Natsuml-0419

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