第4話 ごきげんよう(笑)
ちょっと用事あるからしばらく待っててーって言って三乗先生は職員室を後にした。俺と野中もずっと職員室にいるわけにはいかないので職員室横の会議室で彼女の帰りを待つことになった。
野中は俺の横でちょこんと座っているその佇まいには女王の姿は見られない。ずっと沈黙が続くのは気まずいし、話しかけてみるのが吉。
「...コホン、えーと同じクラスの野中さんだよね?君この部活のこと知ってたのか?」
「」
「はは...」
「」
「...ごきげんよう。今日はいい天気ですね。自己紹介が遅れましたね。ぼく、同じクラスのさかみちしょうたろうといいます。字は坂に道に日が昇るに太郎とかきます。って興味ないですね。はは」
「」
むうぅ無視か
きっつ!いやーきっついわこれ!俺の話し方がうざいのはわかるがフル無視はきっついよ!普段女の子に話しかけるタイプでもないこの俺が勇気を振り絞って話しかけたのに無視ってねえ!?
あーあ女王とか言われてたやつが思ったより小柄でおとなしそうだったからって調子に乗っちゃった。
頭を抱えている俺に一瞥もくれず彼女は真っ直ぐに前を向いている。
だが次の瞬間彼女の体がゆらっと揺れ、座っていた椅子ごと大きな音をたてその場に倒れた。
「え?...おい!大丈夫か!おい!」
返事はない。とにかく一刻も早く保健室へ連れて行こう。俺は彼女を背中に担いだ。その体はとても軽く、細かったが背中からその温かさは伝わってきた。
「くそ 俺まだこの学校の構造 頭に入ってないのに!」
だがそんなこと言ってられない。俺は急いで会議室を出て、とりあえず一階の昇降口へ行くことにした。あそこには学校全体のマップがあったはずだ。
会議室、一年部職員室のある二階と一階を繋ぐ階段を降り、昇降口の校内マップで保健室の位置を確認して、そこへ向かった。
保健室に着いたが、先生は不在だった。
「不在です。御用のある方は各自でお願いします」
というプレートが入り口のドアに貼ってあったので失礼する。
部屋の奥へ行って、背中から野中を下ろし、ベッドに寝かしつけようとしたとこで、野中と目が合った。真っ直ぐに俺を見つめている。あれ?
「気を失ってたんじゃないのか?」
俺の問いに対し
グゥゥ〜
とお腹の音で返事したと思ったら
「お腹すいた」
彼女はそう、ぽつりと言った。
さいですか。買ってきます。
安心感と脱力感を抱きつつ 購買部に向かった。
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