第3話 テンプレアラサー教員は婚期逃しがち

 職員室に着くと、そこでは担任が待っていたた。そして野中(下の名前は知らんが)と思わしき人物もいた。野中の容姿は進藤から聞いていたように整っていた。黒髪をボブカットに整えていて、肌は白い。目は大きいが目つきが少々鋭い。だが女王と呼ばれるには顔つき自体は幼く背丈も高くない。身体全体から発せられる冷たいようなオーラが彼女をそう形容するのだろう。


 俺が野中についてあれこれ思いを馳せていると待ちかねた担任の三乗智草さんじょうちぐさ先生が声を掛けてきた。

「おーい坂道!遅れてきておいてなにボサッと突っ立ってんの。さっさとこっちおいで」

「あ...ひゃい」

 勢いに気圧され変な返事をしてしまった。あーあ野中に変な奴だと思われた〜 やってらんねえぜ

 ちなみに三乗先生はバリバリのOLアラサー女子()だ。年齢より少し老けて...いや、大人っぽく見られてしまうところがあるがそれが美人なのに婚期を逃してしまう原因のひとつだろう。長い黒髪を一つに束ね化学の教員だからか、いつも白衣を纏っている。


「と、いうわけで!坂道くん、野中さん、この度は本当にありがとう!!」

 俺が野中の横につくやいなや三乗先生がそう言った。

「いや〜廃部の危機があるからねー 帰宅部は。まあモノ好きしか集まらないし変な奴らの集まりとかとも言われるからねえ。君たちは優しい子だ!ぜひ歓迎しよう!」

 ん?何を言ってるんだ?帰宅部が廃部なんてあるわけがないだろ。話が噛み合ってないような...

「あのー 何の話でしょうか...」

「え?何の話ってこれからの部活動の話だけど?」

「いや、俺は帰宅部に加入してしたんですよ?さっきから廃部だのなんだの何か勘違いしてません?」

「帰宅部に入ったんだろ?」

「はい。だから俺は部活には所属してなくて...」

「勘違いしてるのは君の方だよ坂道君」


 何を言っているのか 全くもって理解に苦しむ...

「少数精鋭の部員が集うこの学校唯一の帰宅系部活動 帰宅競技部へようこそ!君たちとの出会いを心から嬉しく思うよ!」


 ...はあ?


「はああああぁぁぁあああ!!??」

 帰宅系部活動?帰宅競技?なんだそれ!?そんなわけのわからん部活動に入れられてたまるか!


「いやいやいや!俺は嫌ですよ!そんな得体の知らない団体に入るの!それに、野中だって俺と一緒で勘違いで届け出を出したんですよ!とにかく...」


 その時、黙りこくっていた野中が初めて口を開いた。


「いっしょうけんめい、がんばります」

「よしきた!2人とも決まりね!」

「え...」


 お前もそっち側なの...?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る