球根を頼りに

ホームセンターにて球根を購入しようかと考え、棚を見ている内に、そうだ、祖母の畑に埋まってないか、と思い、却って掘り返してみれば成程、埋まっていた。

土の中、球根が一つ、二つ。


最近一人で過ごすことが多い。


母は祖母と仲良く韓ドラ鑑賞しているし、父は仕事が充実し、部屋に入られるのを嫌がるようになった。弟は言わずもがな。


私は別に誰かといたいわけではないのだけど、関わりを持つことは良い事だと聞いたから、色々と頑張ってみた後で失敗して、結局一人で町をうろうろしている。


こうして曇り空の下、晴れやかに明るいのをほのぼのと記録したりして、このほのぼのと、というのも最早書き慣れ、あんまり面白くないぞ、と思ったりしている。


パターン化された嫌味の云い方と言うのを刷り込まれていて、そのつもりが無くても相手が口を開けば全て嫌味に聞こえるので、帰ってから吟味し、今日も何もなかったさ、とほっと一息ついて、青空の下、この町はどこまでも平和だったことなど思い出している。


第四日曜日にやっているワンダーストアを覗いてきた。


母が弟が煙草を欲しがるのを叱っていて、とばっちりで頓服を飲め飲めとうるさく、「うっとうしいなー」と言って帽子を被って出てきた。

いつでも私は、家族捨てられる。

その強みがあるから今も生きていける。


しかしこの自慢の足も、いつか切る日がくるかもしれないぞ、と寺の屋根の元思ったりして、案外運命とはそういった方向に曲がっていくのだからやりきれないと考えたりして、誰もいないと思っていた川べりでカップルが和んでいるのを見つけてそうそう、この街には色々良いスポットあるんだよ、と同じように和んだりした。


その内由良川等間隔とかできたらいいのに。


祖母は球根を分けてくれなかった。

一人ぼっちの球根の、芽はいつ出るのだろう。

人に上げるとなると惜しくなる、その言い訳は何さ、と思いながら、思い通りにならないこの日々を今日も生きている。

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