第15話 妹と管理者

 名前:サクラ・リンドベル

 年齢:6歳

 性別:女性

 種族:猿人種 人間

 職業:リンドベル辺境伯家次女

 スキル:精霊魔法 火 水 土 風

    聖魔法

    無属性魔法


「こんなもので、どうかな?」


「えっ、誰?と言うか、何処ここ?」


 3個の水晶を砕いたあと、気が付けば無数のモニター(もどき)に囲まれた場所にいました。


「初めましてになるかな、僕は君が生まれた時から知っているけどもね」


 神殿で神様に遭遇、お約束の出来事でしょうか。ですが、さすが神様です。モザイクがかかって顔がよく見えません。


「いや、神では無いから。神がいるのなら、僕が会いたいくらいだよ。そして、この忙しさを何とかして欲しい・・。後、僕の顔が見れないのは、君が見たいと思っていないからだよ。」


「心を読まれた!これも、お約束でしょうか。」


 君も考えを読めるはずだよ。


 本当だ。


「僕の事は、管理者Xとでも呼べばいいよ。」


「管理者ですか」


「そう、この世界の法則システムの管理を行う者。」


 例の管理者との遭遇です。この世界を管理しているという事は、神と言えるのでしょう。


「いや、いや。僕の出来ることなんて知れてるよ。神に比べればね・・」


 そんな神に私は、挑んだ様です。


「驚いたよ、生まれて直ぐに神に挑むなんて」


「わ、若気わかげいたりです・・」 生まれた直後だけに。


 そして沈黙・・。間が持たない・・・。なに?この感覚。身近なのに他人の様な変な感覚・・。


「それで何故、私がここに?」


「何故だと、思う?」


「少しやり過ぎましたか、・・いろいろと。」 自覚は有る。かなり有る。


「そうだね。かなり、やらかしてくれたね。おかげで不都合修正で大忙しだよ。」


「ももっ、申し訳ありません!」


「謝る必要は無いよ、そもそも転生者とは、そういう存在だから。」


 え?どう言う事でしょうか。


「転生者とは、この世界の問題点を洗い出す為に、向こうの世界から呼んだ人達だから。だから、色々やらかしてくれた方が、こちらとしても、ありがたいんだ。」「睡眠量は減るけどね・・。」「ブラック企業と言う、言葉がある世界がうらやましいよ。」「そもそも、世界を創るだけ創って管理者に丸投げって・・・」


 まだ、この愚痴が続くのでしょうか。


「いやいや、ごめん。この続きは今度ね。」


 まだ続くようです。


「この世界は、創られたばかりで、まだまだ不都合が多いんだよ。でも、この世界の存在では不都合を、そのまま受け入れてしまうんだ。だから、外部から人を招いて、法則システムの矛盾点を洗い出しているんだ。それが、転生者と言うわけさ。」


 もしかして、土下座で頼めば、元の世界に返してもらえる?


「それは、無理。だって、死んで転生してるのだから、神でもなければ無理でしょう。」


 やはり、私は死んだのか・・


「さすがに、『検証の伝道師』や『図書館の魔女』の称号は、法則システムとの整合性の関係で『妖精眼』に統合したけど。」


「・・ご迷惑を、おかけしました。」 黒歴史を暴かれた気分だ。


「君は特別だから、融通は利かすよ。」


「ありがとうございます。特別・・?」


「そう。だって君、自分の幸せを求めてないよね。家族が幸せであれば、自分はどうでもいいと思っているでしょう。」


 えっ。


「そんな君が、この世界を悪いようにする筈が無い。だから君は、この世界では思うままに生きてもいいのだよ。」


 前世の私を、知っている?


「ああ、もうこんな時間だ。そろそろ帰りなさい、そして今世で家族と幸せに暮らしなさい。」


「え、あ・・」 


 次の瞬間、私は神殿に戻っていました。




 サクラの消えた、モニター(もどき)ルーム。そして、管理者Xは呟く。


「これが私の罪滅ぼしの為の、神のおぼしなのか。」

「神は常に、見られているのか・・。」

「神よ、もし見られているのなら、どうか!どうか管理人員を増やしてください。どうか!どうか!」




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