第14話 妹と神殿

『祝福の儀』の前日に、この6年を振り返っていたはずが、当日になっていました。私達は、馬車で神殿に向かっています。神殿は、屋敷からそう遠く無い場所にあるのですが、祝い事なので馬車をつかいます。


 これは、貴族階級に限りません。領内の全ての6歳児が身分にかかわらず、レンタルされた乗り合い馬車や荷馬車で最寄りの神殿に向かいます。

 これは、王家に推奨されてはいますが、全国で行われているわけではありません。領地によっては祝福の儀さえ、受けさせてもらえない子供もいるそうです。


 上位貴族の家庭で育った私は、この国の普通を知りません。リンドベル領の筋肉量が異常であるのは、理解しているのですが。


 さて『私達は、馬車で神殿に向かっています。』と言った通り、馬車の中には他の『祝福の儀』参加者もいます。


 その一人が、猫耳メイドのミケお姉様の娘「クロ」です。皆が、ドレスや礼服で着飾る中、メイド服姿で私に、お茶を入れています。

 え?どこで、お湯を沸かしたの?


「クロ。どうして、メイド服なの?」


「私は、お母様以上のメイドを目指していますから。」


「・・。今日は何の日か知っているよね?」


「はい。サクラお嬢様の専属メイドに選出される日です。」


「クロは、メイドでは無く、リンドベル家の一員だからね。それに私の事は、お嬢様では無く、お姉様と呼びなさい。」


「それでは、叔母おば様と呼ばせて頂きます。」


「・・・いや、お嬢様で・・。」


 ちなみに、クロも称号持ちです。 

『究極メイドを目指す者』

 称号って、何でも有り?



 そして、神殿に到着。


 昨日までは、闇魔法を使ってステータスの隠匿しようと思っていたのですが、やめました。そもそも、神殿で開示される情報は、身分とスキルだけらしいです。

 家族は、私の能力を知っていますし、身分的に他人に知られても差し支えないでしょう。特に目立ちたくないとか、思っていませんから。


 ステータスの測定方法は、ファンタジー小説の定番である「水晶に手をのせる」のようです。ここで、お約束の様に激しく輝いて、砕け散ったりして。・・・、砕け散りました。


「気にせずとも良いぞ、サクラ。わしの時も、力をめ過ぎて2,3個握りつぶしてしまったは。はっはっは!」 と、ゴリラ。


 握っていません、手を置いただけです。私ってお父様似?似てないよね、似てないよね。




 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る