第9話 妹と妖精眼
そして、半年の月日が流れました。Lv1の魔法は封印されましたが、その際Lv2に達していた鑑定魔法を使い続け、今ではLv5まで成長しました。Lv1の頃からMPの続く限り鑑定できたのですが、鑑定レベルで何が変わるのでしょうか?
鑑定:森羅万象を知るための魔法。対象の情報をレベルに応じて引き出す。
鑑定の繊細情報を知るには、「管理者権限」が必要。
森羅万象?管理者権限?
「あふん・・」
未だに鑑定の情報量を制御できず、全MPを使い切ってしまいます。おやすみなさい。
自分のステータスに、いつの間にか「聖魔法」と「基本魔法」が追加されていました。
聖魔法 封印中。情報収集不可
基本魔法 封印中。情報収集不可
封印中は、鑑定が使用できない様です。これを、意図的に使えば情報を隠蔽できるのでしょうか?
(スキル「闇魔法」が発現しました)
私は今、ある道具を欲しています。それは鏡です。
何故かというと私の顔を見た、ほとんどの人から悲しい感情が伝わってきます。そう、何故か他人の感情が解るようになったのです。
きっと私は父親似なのでしょう。残念な感情は伝わってこないので、まだクマ兄様よりかはマシなのでしょうか?あの人は人間を超えています。それでも私は確かめなくてはなりません、どの様な顔であろうとも今世の現実として受け入れ、生きていくのです。
最近、首も座った事もあり、お母様に抱かれて屋敷内を散歩しています。この機会に鏡を見つけたいと思います。
この屋敷自体もかなり大きいのですが、巨大な城郭の中の一施設にしかすぎません。窓から見えるのは、視界いっぱいに延びる城壁で、それが遥か彼方の森まで何重にも重ねて造られています。
辺境伯という身分から、国境沿いの伯爵家であろうとは思っていたのですが、これほどの城郭が必要なほど危険な辺境だとは思っていませんでした。その危険な存在が玄関に置かれていました。
玄関とは言っても、体育館ほどもあるエントランスホールを備えており、その壁にそれが飾られていました。
軽自動車ほどもある、ドラゴンの頭のはく製です。私は鑑定を行いたい衝動にかられます。でも今、鑑定を使い眠ってしまっては、鏡を探すことができません。
しかし、さすがはドラゴン。私は、好奇心に負けて鑑定を使います。
(魔物ライブラリが閲覧可能となりました。魔物ライブラリに飛竜種の情報を保存しました)
あれ?情報が見れなかった?おやすみなさい・・
おはようございます。
鑑定結果が見れなかったのですが、何故かドラゴンの情報が頭にあります。
名称:レッド・ドラゴン
種別:飛竜種
属性:火
弱点属性:水
スキル:咆哮 火炎ブレス 逆鱗 体力自動回復
・・・・・・・
・・・・
頭の中で、竜の姿まで思い浮かべることができます。まるで、頭の中に魔物の辞典があるようです。
そして私は今、お姉様の膝の上で絵本を読んでいただいています。言語理解がLv4なので、読み書きもできるのですが、生後半年の幼児なので書く方はミミズがはい回ったような字となります。
まあ、そんな幼児に読み聞かせも、どうかとは思いますが私に聞かせるというよりも、自分が読みたいのかもしれません。
お姉様の読まれる物語はいつも、最終的に王子様とお姫様が幸せに暮らす物語です。「白雪姫」とか「シンデレラ」とか・・
絵本にそのままのタイトルが記されています。この世界は、転生者による文化侵食を、かなり受けているようです。
読み終えたお姉様は、ほほを赤らめ吐息をつきます。物語に恋する乙女です。
「お姉様、大好き。」
しまった!喋ってしまった!しかし、お姉様は私の頭を優しく撫でて、部屋の端にある机に連れていきます。
え?生後半年で喋るのはおかしくないの?
前世でも素直に、この言葉を使えばよかったと後悔します。
椅子に私を座らせたお姉様は、机の上の扉を開けます。そこには、鏡がありました。そして、そこに映っていたのは白い肌に銀白色の髪をした可愛らしい女の子です。お父様にも、お母様にも似ていない様な、どこか少しだけ二人に似ている様な天使がそこに居ます。
その天使の瞳は左右で色の違う、オッドアイでした。
(特殊能力「妖精眼」の封印が解かれました)
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