サクラ、咲く

第6話 妹と鑑定

 え!何、貧血?目が見えない、耳が、声・・。身体が動かない、私は死ぬの?なにが・・。あ!プリンは!私の800円のプリンは!?。あれを、食べずに私は死ぬの?そんな理不尽な・・。


 おのれ!許さんぞ。そんな理不尽、たとえ神が許そうとも私が許さん!


(「神に挑みし者」の称号をえました。)


「オギャー!オギャー!オギャーッッッ!!」



 あれから一週間、だいぶ落ち着きました。冷静沈着な私が、あれほど混乱するとは「800円のプリン」恐るべし。

 いえ、それは前世の話です。どうやら私は、異世界に転生した様です。寝返りすらうてない私が、なぜ異世界に転生したと分かったのかと言うと、


 今、私のオムツを替えているメイドさんの頭に、「ネコミミ」があるからです。


 尻尾の方も気になる所ですが、今は前世の事から整理しましょう。前世の反省無しで、今世のせいはありません。前世あれほど、姉に甘えて迷惑をかけたにもかかわらず、プリンを食べられたくらいで家をとびだすなんて。あの後、車にかれたのでしょうか?それとも通り魔に襲われたのでしょうか?混乱していて、記憶にありません。


 姉は今、悲しんでいるのでしょうか?だとしたら、申し訳ありません。姉には幸せに生きてほしいものです。私が言えた義理ではありませんが。姉が私の事をどう思っていたか、死んでしまった私には知るよしもありませんが、今を生きる私は今世の家族を大切にしていきたいと思います。



 私が生まれたのは、リンドベル家という貴族の家系の様です。裕福そうな家に生まれて安心する反面、貴族階級に対する不安もあります。


 1.政略の為、豚貴族と無理やり結婚。

 2.「女は子供を産む道具」とののしられながらの生活。

 3.生まれた息子は、父親の教育で豚貴族へ。

 4.息子が家を継いだ途端、家計が傾き結局、奴隷階級へ。

 我が親が豚貴族で無い事を祈るばかりです。


 豚では無く、ゴリラでした。


 比喩ひゆで「丸太の様な腕」と言うのを聞いた事がありますが、「電柱の様な腕」を見るのは初めてです。180cmの筋肉ダルマに電柱の腕を付けたゴリラがそこに居ます。私の御父様「シシ・リンドベル」です。ゴリラなのに、獅子ししいえ、ししでしょうか?


 その隣には、くまが居ます。


 リンドベル家長男「クマ・リンドベル」です。確かに名前もクマなのですが、2メートルを超える身長に、くまの魔物の毛皮を被った姿は、くまと呼んで差し支えありません。これで、10歳なのだそうです。20歳には、4メートルを超えるのでしょうか?


 後の家族は、まともでした。あくまでも、見た目での判断ですが。


 母は、「ヒナギク・リンドベル」おっとり系の美人です。その母を幼児にしたような方が「カエデ・リンドベル」私の今世での御姉様です。今世では御姉様の言う事をよく聞き分け、仲良し姉妹と言われる関係になりたいです。どうやら、我が家の女系はまともな様で安心しました。大きくなって、ゴリラや熊と呼ばれたくありません。


「トラ・リンベル」下の御兄様。母親似です・・・


 私は、大丈夫でしょうか?母親似ですよね?もしもの為に、なるべく筋肉を付けない様にします。



 さて私は今、天井を眺めています。暇、なのではありません。天井を眺めながらも、頭では身体の中の魔力を探っています。


 この世界には、魔法が存在するようです。異世界だからの可能性を信じている面もあるのですが、部屋の照明が魔道具の様なのです。スイッチを入れると、燭台の上に光の玉が出現します。これは、蝋燭ろうそくでも油でもありません。電灯の可能性はありますが。


 しかし、全く魔力らしきものを感じません。小説では、お腹や心臓あたりから魔力をはっしているそうなのですが。全く見当違いなのか、魔法の素養そよう自体無いのか。話せるになって、誰か聞くしかありません。


 今度は本当に暇になり、天井を眺めます。

 中世ヨーロッパ調のデザインの部屋なのですが、品質は地球並に高いのは、どういう事なのでしょう。

 特に、この掛布団は高級羽毛布団並の寝心地です。前世、そんな高級品で寝た事はありませんが。どこかに、製品タグでもないでしょうか?


(スキル「鑑定」が発現しました)


「ばぶ?」 


 魂?がぬけていく・・?・・・


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 はっ!気を失っていました?


 何が起こったのでしょう?全身から力が抜けていくような感覚でした。私は魔力を使ったのでしょうか?


 検証しましょう!


 理科の授業では、検証の伝道師と呼ばれた私です、今の現象を検証で現状把握しましょう。


 まず、私は掛布団に製品タグがないかと・・・


「ばぶ・・」


 名称:乳児用最高級掛布団「すこやか」

 種別:乳児用掛布団

 品質:最高級 


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 はっ!気を失っていました?


 どうやら、鑑定能力を手に入れたようです。そして、とてつもない高級布団だったようです。

 しかし、これは危険です。鑑定のたびに気を失っていては、切りがありません。この気を失うという、現象は何でしょう?魔力切れ?体力切れ?。そして、どうやって鑑定能力を手に入れたのでしょう。


 取り敢えず、自分を鑑定してみることにします。それで、何か見えてくるものが有るでしょう。


「おぎゃ!」・・・・・。


 自分を鑑定するには、どうすればよいのでしょう?鏡でも見るのでしょうか。悩みながら、目を閉じると


 名前:サクラ・リンドベル

 職業:リンドベル伯爵家次女

 称号:神に挑みし者

 HP:2/2

 MP:0/20


 あっ・・「ふにゃ・・」


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 気を失いました。たぶん私はよく寝る子と思われる事だろう。
















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