第6話 闇支配
純黒の光線が飛び散り一瞬だけ光った後、霧生に纏っていた水を闇が呑み込む。
「.......」
その闇から姿を現したのは髪と目を、燃えるような真紅にした霧生だった。
「おっお前、さっきので死んだんじゃなかったのか!?」
「あーまーなんというか変な世界で幼女に会って、目が覚めた時にはこれのやり方が分かってたみたいな」
霧生は自分でもどうなったのか良く分からないがあの幼女の言っていた通り死ぬ事はないと思う。
断定的な理由はないが
ーー今底無しの魔力が注がれてる気がするんだよな。
「グワッハッハッ。面白い。その力を我の力でねじ伏せてやろうではないか!」
「これってさリタイアとかそういうルールってないわけ?」
「そんなものはない!どちらかが死ぬまで勝負は続く。それともなんだ?怖気づいたか?」
「いやいや。そうじゃなくて。俺さまだ魔力の調整とか絶対出来ないからさこのまま殺しちゃいそうなんだよね」
「ほぉ。それはまた大きな口をきくものだ。だったらやってみろ。できれば我が死に、できなけらばお前が死ぬまでだ」
「だっからあんた人の話聞いてる?あんたを殺すと俺の人間性が崩壊して、洒落にならないことになるんだよ!」
「えぇい!ゴチャゴチャうるさい!」
ジェルフェンは霧生を怒鳴りつけた時すでに魔法陣を展開していた。色は先程と同じ紺色だ。
「我最大の魔法。
ジェルフェンの突き出す両手のひらの魔法陣から無数の斬撃が繰り出される。
その斬撃は地面を抉る程の威力を持つが今の霧生には止めるのは容易かった。
「なら俺も魔法名を言ってみようかな!いけ、
フィールドの半分ほどある魔法陣からドス黒い荒波が飛び出し蒼斬撃をかき消しジェルフェンへと向かっていく。
その波は勢いもさほど強くなく、そもそも霧生は死なないように魔法をうったのだ。
だが、その波に触れた瞬間ジェルフェンは今までに経験した事無い程の激痛に襲われる。
「グッ、グァァァ。何をした小僧!」
「えっまっ待ってくれ!俺はあんたが死なないように調節したつもりだったんだけど」
「なっ何を言っておるのだ!こんなまほっ.......」
必死に叫んでいる途中でジェルフェンは泡を吹き、膝からガクンっと落ちるように倒れた
「おっおい!おっさん!しっかりしろよ」
一帯が一気に静まり返る。
「うっうぉぉぉぉぉぉぉ」
会場は今さっきの静けさとは裏腹に異常な熱気を帯び、騒然とする。
『おーっと、なんという戦いだぁー。霧生選手の予想外の強さにジェルフェン選手死亡だぁー。よって勝者、霧生選手ー!」
「うぉぉぉぉぉぉぉ」
観客や放送席の男達は皆霧生の力に興奮しきり雄叫びをなど現れる事態だがその会場に約一名青ざめた顔になりながら震えてる者がいる。
それはジェルフェンの息の根を止めた霧生本人だ。
「おい嘘だろ!?俺が人を殺しちまったのかよ......。そんなつもりなんかなかったのに!」
霧生がジェルフェンの死体を揺さぶり朦朧としていると地面に薄紫色の魔法陣が展開される。
「お前は自分でどんな能力を授かりどんな異能をジェルフェンにぶつけたか分かっていないようだな」
「あぁ!こいつが勝手に死んだんだよな?」
「それは違うな。お前が殺したんだ。ジェルフェンは蒼斬撃は体内の魔力を一定時著しく消耗し、その反動で強力な斬撃を放つ技だが、その消耗したジェルフェンにお前のデスウェーブだったか?を打ち込んだからだろうな。あの技に魔力を吸い取られたジェルフェンは魔力枯渇により死んだんだ」
ーーじゃあやっぱり俺が......人を殺めたのか.......
「そして驚くべきはお前の能力自体だ。お前の能力は、元々この世界を支配していた魔王の有していた能力......闇支配なのだからな」
「やっ、闇支配?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます