7章 女の子の服と学校
あれから、少しの時間が経ち部屋にメイドがいつもいる。ようになった腕の骨だけが折れていると思っていたのだが、違ったらしい。ベットに横たわっていた時に見たらしいのだが、足も変色していたらしい。この世界に車いすと言う物がないためメイドに抱えられ移動することになった。クルスが自分でやりたいと目を輝かせながら言ってきただが、メイド長に
「自分のやるべきことがございますでしょ。それに民衆に国務を
と言われ、
「何か必要な物などはありせんか?」
と尋ねられた。返事として
「いいえ、大丈夫です」
と、返事しておいた。すると、メイド長はおもむろに自分の手を叩くと
「いつも一人で御着替えなさっているときに腕が痛むのに自分でなさろうとするので、痛みに耐えている声が聞こえてくるのです。大変痛そうなので、お手伝いしようとここにいる皆さんで決めたのですが、いえぜひともやらせてください。できれば、女王様の要望は少し聞いてあげてください。」
「いえ、それは一国の女王としての職務は大丈夫なんですか?」
「はい、そのことにつきましては職務を終わらせてからきちんとなさるように見張りを誰か置くつもりなので心配には及びません。」
内心そこまで重症なのかと思いつつ
「は、はぁ。そうですか。」
これは一国の女王がこんな感じで大丈夫なのかと思いつつも、そこまで言ってもらえているのだから、お願いした。なぜよこしたメイドが女性だけなのか気になるところだがな。
「僕の世話をしてくれるのはとてもありがたい事なのですが、僕にも恥ずかしいという感情があります。なのでそのところを理解していただければいいと思います。」
「8歳になってそういう感情が芽生えているのは理解していますが、大人びた態度を取られるので、状況によって分けてもらえればと思います。これは、8歳に言えることではないのですが、もう少し甘えてもいいものと思われますが」
「はは、そうですね。昔からこんな感じでしたね。あまり迷惑を掛けまいと動いていただけなのですが、そのように思われていたのですね。少し甘えていればよかったかもしれないですね。」
「でも、皆さんに迷惑と言うか今も多少幼少期ですが、この時期に甘えていなかったのもこの過保護さに影響を与えているのかもしれませんね」
確かにこの時期に自立し始めているのもおかしい話だ。村の子どもでもまだ甘えている時期だろう。だが、この体で幼さが抜けきっていないのも事実なので、そのことに対しては後悔しているが、今でも実年齢を知らない人から見たら4、5歳に見えるらしいと、クラリスが言っていた。だが、この容姿に対して文句はない。中身はともかくね。
「ところで聞きたいのですが、なぜ女性ばかりなのですか。ここで生活していて思っていたのですが、男性の執事を見たことがないのです。もしいるのなら着替えの手伝いを変わっていほしいのですよ。」
「それはダメみたいです。私も一度そのことを話してみたのですが、この城にいるのは貴方あなたを除くと男性がいません。城門の開閉は記念式典の時だけ雇っているので必要無いみたいです。
ならば雇ってはと思い相談に持ち込んだのですが、周囲のメイドの反応や女王がそんなことをすると冒険者に襲われる可能性があると言ってきかないのです。理由を尋ねてみると、「女の子のように見えるから」だそうです。」
「僕ってそんなに弱々しく見えますか?」
「失礼ながら、はい。街の子供たちから比べると全く違いますね。体を見ていても肉付きや体格、顔、性格に至るまで姫のようです。」
その発言に僕は心底驚いた。自分でも活発な方だと自負していたのに。それが覆されたことによって驚いていた。だが、表情には出すまいと心に言い聞かせた。するとメイド長が口を開いた。
「そういえば、私としたことが名乗っていませんでしたね。今更ではありますが、ルーシィ―と申します。これからもよろしくお願いしますね。それはそうと逃げないでくださいね。お願いしますよ。じゃないと無理やりさせていただくことになるので。」
僕の背筋が凍りつくような悪寒おかんが走った。地獄だったのはこの後だった。脱がさるのは良い。だが着させてもらう服がどう見ても女の子用の服だった。可愛らしくヒラヒラのついた服だった。それを見た瞬間無性に許可した自分と、メイド長の言葉に時々出てくる“女の子”という単語に警戒しておくべきだった。小1時間程メイドたちの着せ替え人形になった後女の子の服を着てクルスに会いに行くと言われどんな反応をされるのか内心ヒヤヒヤだった。そして来てしまった。後ろにいるであろうメイド長を見てみるとニッコリしていたが、その笑顔には黒いオーラが濃く纏わり(まと)付いていた。ドアを開けるとクルスが飛びついてきた。びっくりした。
「イリス。イリス、イリス・・・・・・・・・」
此処で思ったことはみんな同じだろうメイドたちも若干引いていた。僕の心中はクルスの放つ負のエネルギー的な物によって恐怖を感じていた。しばらく抱き着かれていてクルスの表情を見てみると恍惚こうこつとした表情になっていた。恐怖感もクルスの顔を見たことによって減衰していった。
「どうしたの?」
と、わざとらしく小首をかしげてみたら、クルスが大粒の涙を出しながら神々しい物を見ているような顔になっていた僕は、苦笑いをするほかなかった。
しばらくして、クルスの顔が元に戻ったところで、口を開いたと思ったら、
「誰がこれを計画したの?」
するとメイド長が
「私と私の部下たちです。」
これは、怒る雰囲気かと思っていると、クルスが
「これはメイド長分かってらっしゃる。」
「おほほ、おほめにあずかり光栄ですわ」
僕の思っていたことと状況が逆だったので、驚いた。だが一つ確かなことがある。それは、僕が女装を強制させられることだった。しかし、クルスと趣味があっていたなんて、そういえばこんなことわざがあった。
“類は友を呼ぶ”なんてのが。こんな時に思い出してもこの言葉を思い出し逆にこんな言葉を作った奴が無性に恨めしく思えて仕方ない。だが、こんなことされていて逆に愛されているということにもなるのではないかと思うと、本音は少し嬉しい向こうの世界では、こんな感情を表おもてに出すことはないだろうからそう思うと自分が「愛」と言う形のない物へ憧れを抱いていることに気づいた。すると、頬ほほに暖かい物が出てきているのが分かった。なんでこうなったのかいまいちわかっていないクルスは、僕の頭をなでてくれた。
僕は、部屋から出ようとするとクルスが無言で袖そでを掴んだ。無言の圧力と言う物はこんなに迫力があるものなのだろうかと思いつつ部屋に居続けるように促した。顔は笑っているが目が笑っていないその行動にはみんな驚いたようで顔が固まっていた。だが、一番驚いたは実際に掴つかまれた僕である。僕がどうしたらいいのか近くにたまたまいたクラリスにどうしたらいいと思う?とアイコンタクトをとると知らないと帰ってきたマジかと思いつつメイド長の方を見ていると、後ろの扉から続々と出ていった。そして僕たちは二人きりになってしまった。僕だけが気まずくなってしまったが、クルスはと言うとなぜか嬉しそうにしていた。すると、
「一緒に寝ない?」
なんて未婚の女王が言う事ではない。戸惑っている僕をよそにベッドメイキングをメイド程の速さではないが行っているのを見ながらなんでこんなことを言ったのか考えていたが隣から出来たなんて声が聞こえたもんだから正常な判断ができないほどに焦っていた。
昔の僕は女子のことはみんな同じだと思っていたので、こんなことをできるような事はなかった。しかもリア充を影から恨めしく見ているような奴に彼女がいるほうがむしろ不思議である。なので、この行為はいわゆるハニートラップと言うやつだと割り切り耐えることにした。こんな格好で
「これね、メイド長に採寸して作ってもらった物なのだけど、偶然お揃いなのよ。可愛いし来てみない?」
これは
僕は、クルスがやってきたであろう書類の山を見て感動した。好きな物のためならここまでできるのだと感じた。たくさんの仕事や僕の世話等もしてくれているクルスには感謝の言葉がいくつあっても足りないと思ったがそれもつかの間クルスがドアに鍵を掛けたそれを見た僕は恐怖した。一体何をするつもりなのか考えようとしているとクルスがベッドに飛び込んできた。これにより僕はもう考える事を放棄した。僕が早速寝ようとしていると、クルスが隣から話しかけてきた。
「ねぇ。今後外出するときや中にいるときは、女の子用の服で過ごしてよ」
「なんで?」
「え、だって。その方が可愛いんだもの」
「恥ずかしんだよ、僕」
「えー、いいじゃない可愛いは正義でしょ」
え、何そのどっかで聞いたことがありそうな名言はと思っていると、夜も更けていたせいか急に意識が薄れていった。はっと起きるとそこは見慣れない天井で一瞬驚いたが、昨日のことを思い出し理解した。手の状況を確認するとはやりまだ折れているらしく動かすと鋭い痛みが走る。自分の姿を鏡で見てみると意外に似合っていて自分がびっくりした。妙な視線があるなと後ろを振り返ってみるとニヤニヤしているクルスがいた。どんな怪談話を聞くよりも
僕は、これがトラウマになってしまった。女の子用の服を着ないとやばい雰囲気になっていてその・・・
女の子の服を日常的な生活をする上でこのんでと言うか、理性がそうしろと言っている。僕は、男の子用の服を着るのに拒絶反応が起きてみんなが思うように体が動かなくなった。
それから、2週間が過ぎた。骨折が治り自分でスムーズに着替えることができる用になった。なので、あらかじめ用意されていた服に着替えるがそれもやはり、女の子用の服である。外に出る事になるとき必ず
メイドたちも驚いていた。一番驚いたのはたぶんクルスいや、マルグレットかもしれない魔術の方は回復優先で自分で修行していた。このころには学校と言う教育機関にもう一回通ってもいいかもしれないなと思うようになってきた。それから大きな進展も特になく変わらぬ日々が続いた。すると急にクルスが
「ねぇ、学校に行かない?」
「なんで、もうそんな必要ないでしょ?」
「学校に通うと一般教養や社会的身分が保証されるのよ」
「だから、行きなさいと?」
「そう、学校自体は国外にあるのだけれどかまわないなら連絡するわよ」
「それは、別にかまいませんよ」
異世界で、現代の知識を使って国を建てる英雄が僕の件?! 十六夜 瑞樹 @shwarza
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