5章 クルスの誕生日 後篇
誕生日プレゼントと手紙を枕の近くに置いた後、何食わぬ顔で僕は朝食を採りに戻った。そのあとクルスが走ってこっちに来た。事情の知らないメイドたちは、クルスに大変なことがあったのではないかと心配しながら見ていたが、「イリス、あなた。とっても嬉しいことをしてくれるのね」このクルスの一言でメイドたちの顔が
時はしばらく経ち、僕は5分ぐらい僕は抱きかかえられていた。僕もそろそろ恥ずかしくなってきたので、離れると、こっちを惜しそうにメイドたちとクルスが見ていたことに気が付いた。僕は、それから自分の部屋に戻ってから脱力した声で、「あぁ―――」と言いながら、うなだれていた。我ながら恥ずかしいことを長時間にわたってしていたことに帰りながら思っていたのに気づいてしまったので、少し立ち直るのに時間がかかるかもしれないと思っていた。
少し時間は流れ、外から音がするのに気が付いた。
外を見て僕は驚いた。何故なら、この中世のような世界に花火と言うものが存在したのだ。僕は、たまらず
「たまやー」と、叫んだ近くで部屋を見ていたクラリスに聞こえたようで、恥ずかしい思いをして叫んで復帰った矢先に叫んでしまったところを見られ目を背けると、クラリスが入ってきて、「目をそらさないでよ」と言われたが、「ふん」と鼻で鳴らしておいた。僕は、クラリスの顔をもう一度見ると、「ごめんねぇ~」と言いながら、抱き着いてきた。そして、僕はとにかく、引っ付いているクラリスを誰かに見られる前に引きはがすことにした。僕は、クラリスが「もう少しぐらい、いいでしょ」と言われたが、無視をして何とかした。
それから、クラリスを部屋の外に出してから外から音が聞こえてきたので、僕はすぐにパレードの音だと気づいた。僕は、城下町に行っていたときに、パレードの準備を行っていたことから、簡単に推測すいそくできる。それで、クルスがいるであろうクルスの自室へ行くことにした。僕が部屋の前についてノックをしてみると案の定クルスがいた。だが、来ているドレスがいつもと違うせいか、いつもとは違う印象を受けた。
僕は、思わず「可愛かわいい」と言ってしまった。いつもならここで、抱き着いてくるのに、顔を赤くして、照れて、小さな声で「ありがとう」と言った。いつもと違う対応に戸惑ったが、さっきのことを思い返すと、その反応が普通なのではないか?と思えてくると、思い返してみると、僕にもさっきあったことだから、そのことを思い出して、僕まで
それから、僕はダンスを覚えた後、メイド長に連れられ、城のホールのところに行かされた。どうやらここでみんなに僕の事を知らせるようだが、僕ははっきり言って王族や
少し経ち、パレードを見終わったクルスと国民が集合している城のバルコニーからクルスが口を開いた。
「この国の
バルコニーでの挨拶あいさつを後に、僕は貴族階級の女の子を僕が、ダンスに誘った。すると、快こころよく受け入れてくれたので安心した。僕は、前世で同級生に虐め《いじめ》られていたので、女性に恐怖を少し抱くようになっていたので、僕は、心の中でかなり警戒していたのだが、こんなにもあっさり受け入れてくれてそんな気もどこかに飛んでいきそうになったが、自分の保護の為にも、警戒はしておくべきだと思った。知らない人しかも女の子、僕はおぼつかない手で、リードしようとしていると、女の子が口を開けた。「ダンスは初めてですの?」と尋ねられたので「御恥ずかしながら、そうです。」と答えると、「そうですの」と微笑んでいた。僕は、とにかく自己紹介をしておいたほうがいいと思ったので、名乗ると、彼女は、少し驚いた顔をして、自分の自己紹介をしてきた。
「わたくしは、カストル王国第1王女カストル=オリヴィアですわ」と言われた。名前に憶おぼえがある少し前、国の配置を知るために、地図を開いたことがあった。その時に書かれていた。国がカストルだ。この国とは友好条約を結んでいるので、これも友好関係が成り立っているからこそできることだ。それに地図を見たときにそれなりに領土も大きい。この時代では大国になるだろう。その大国のしかも第1王女が僕の手を取ってくれたことはとてもうれしいことだ。1曲目の軽いワルツを踊っていると、視線を感じたので、そっちのほうへ視線を持っていくと、そこには何やらニヤニヤしたクルスと、クラリスが立っていた。
僕は、この光景を見てにやけているのか、ダンスが踊れたのかと感心して見ているのか分からなかったので、あえて無視してみた。後でからかわれるかもしれないが、この対策なら分かっているので容易だ。僕は、生前ライトノベルからハードカバーの小説まで幅広く読んできたが、語尾に「ですわ」とつける人物がいたという事に驚きでしかない。それをダンスの中盤を差し掛かった時にやっと気づいた。逆になんで気づかなかったんだろうと思った。
そして一曲目が終わると、「僕はずっとダンスをやられたんですか?すごくお上手でしたよ」と疑問を投げかけると、「もちろんですわ。
と聞かれたので僕は、「今日初めてやりましたが、満足していただけて恐縮です」と言った。すると彼女は、目を見張り、「本当ですの!途中はリードしていたのにいつの間にかリードされていましたわ。」と驚いていた。僕もいざ本番になると、男子たるものやはりちゃんと女性をリードしないといけないと思っていたので、その感想が聞けたことが何よりもうれしかった。
僕は、ダンスを踊ってもらった御礼として、飲み物を取ってくることにした。「ここで少し待っていてください」と言い、ホールの真ん中に置いているぶどうジュースをグラスに注いで持って行った。僕は、これでいいかなと思いつつ、彼女の待つ場所に行こうとすると、クラリスが、「こういう場所に慣れましたか」と聞かれた。口調を公おおやけに軽口をきいているなんて知られる訳にはいかないのだから変えているのだろうと思いつつ、「あぁ、人が少し多くて落ち着かないってこと以外は大丈夫かな」と言うと、「それを慣れていないというんですよ」と、突っ込まれた。それから、少し歩いて、オリヴィアをテラスに連れて行った。夏だというのに
しばらくして、僕は、星空に浸っていた彼女をこっちに戻した。すると、彼女は「こんな綺麗な空を見せてくれてありがとう」と言われた。もちろんうれしかった。クルスが見ていなかったらだが。
いくら夏と言っても秋が近づいているせいか、ずっと外にいると、やはり寒い。僕は、中に入るように彼女に言って中に入った。そして、「また機会があれば」と言って離れた。そしてそそくさと、自分の部屋に戻った。僕は、「これからどうしようかな」とか、考えていた。自分の中の力のこともそうだし、自分にどんなことができるか知りたいからだ。そのことで旅に出るというのもありかもしれない。ギルドと言う冒険者が行く組合が国内外にたくさん点在していることがあるので、そこに登録すれば、情報やクエストも
それから数日して、マルグレットが旅に必要なものをそろえてくれた。特に目立つのは、高価そうな剣一本と、ミスリル製のナイフが一本あった。僕はこんな高価なものを与えてくれたマルグレットたちに感謝をした。それから冒険者登録するようにこの町の冒険者組合に登録をしに行った。中に入ると、酒の匂いと、筋肉ダルマのような人がいたり、ローブを深々とかぶっている人がいたりと、いろいろな人がいた。
そんな中を通り抜けて、ギルドのお姉さんの元へ行き、「新規でギルドカードを発行したいのですが、と言うと、「ここに必要事項を記入してください」と言われた。「はい」と返事を返し、僕は名前や使える武器や魔法の種類などを記入して、先ほどのお姉さんに渡すと、目を丸くしていた「この御名前この前王族になっていた方ではありませんか?」と聞かれた。「一応そうですけど」と答えてさらに続けられた。「この年でかなりの魔法の属性を使えるのですか?」とも言われた。すべての質問に丁寧に答えておいた。
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